モブログでMarkdownって使えるものなの?(その11:構造化)

自己内の不一致感が言葉を紡ぎ出す。


Markdownは構造を規定する

ただのテキストと思ったら足を掬われます。これは大リーグボール養成ギプス。Markdownで書こうとすると、自然と構造化テキストにせざるを得ない。形式が内容に干渉してきます。構造化テキストとは、アウトラインを意識した文章構造のこと。テキストは脊椎動物です。他者に説明する際、筋道のある文章にはアウトラインの背骨が通っています。

  • 主題1
    • 主題1の展開
    • 根拠の列挙
  • 主題2
    • 主題2の展開
    • 根拠の列挙
  • 結論
Markdownではこんなアウトラインになります。

  • 見出し1
    • 段落
    • リスト/引用/コード
  • 見出し2
    • 段落
    • リスト/引用/コード
  • まとめ
この形式になるよう、Markdownは最適化されている。


見出しは段落と対話する

空行が禁じ手なので「意味の塊」を示すには見出しが必要になります。そして見出しには主題が含まれる。その主題が思索を要求し、それに応える形で段落が進展します。段落自体は「根拠」を示しながら展開していくのですが、その際「論拠」の見せ方に3種類あります。Markdownを整理してみると、下記の3つがあれば8割がたカバーできるようです。

  • リスト:副主題をあらかじめ示す
  • 引用:外部ソースを援軍にする
  • コード:具体的なイメージを描く


リストの役割

上でやっていることですね。箇条書きで項目を並べる。すると、次の段は項目をなぞる形式になります。リストを挙げることで、その後の展開を俯瞰的に示します。

主題は、家屋の「屋根」のようなものです。屋根だけでは「家」になりません。ペシャンコです。屋根を支える「支柱」が必要となる。まず柱を立て、最後に屋根を置きます。文章も同じこと。全体構造を見渡す見取り図としてリストは役立ちます。効果的に使いましょう。

もちろん、手順を示すのにも使えます。番号付きで書くとして、実は下記のような記法でもMarkdownが使えることを知りました。最初を「1.」とするだけ。

1. まず見出しを書く
* 見出しに対する連想を並べる
* 段落でまとめて空行で区切る
* すると構造化テキストになる

  1. まず見出しを書く
  2. 見出しに対する連想を並べる
  3. 段落でまとめて空行で区切る
  4. すると構造化テキストになる


引用の役割

ブログの場合、他サイトの紹介もよくあります。引用して「詳しくはこちらを見てください」と投げ、論拠を外部ソースに頼る。これは次の段落で、そのソースとの対話が始まる導火線になります。引用に対して自分の立場を明らかにする。賛同したり、異議を唱えたり。

「文章」は一人では書けません。自己の二重化が起こる。「説明する私」と「その説明を疑う私」がいます。脳内で「君はそう言うが、こういう場合はどうする?」とチャチャが入る。その対話を記録すると「文章」になります。結構高度なことをしているのだと思う。

ただ、それを直接やると、書き手がまるで多重人格な人に見えるので、仮想の論敵を外部に求めるのが「引用」。そういう危なっかしいことを安全にやるための手段であって、ソース先に恨みがあるわけではありません。でも「引用」には相手がいるので、使い方は慎重に。

それと、「自己参照」の機能もあります。通常は、そこまでの論点を要約しポイントを確認するのに使うのでしょうが、自分の言葉を引用して論拠にする方法もある。

>  自己内の不一致感が言葉を紡ぎ出す
論拠が見つからないとき、あえて断言してしまう。


自己内の不一致感が言葉を紡ぎ出す

意味ありがな雰囲気が漂います。


コードの役割

基本はコード・サンプルです。「たとえばjavascriptではこんな風に書きます」と示す。ブックマークレットとかアクションとか、そうした用途に使っていますが、それだけではない。ブログの場合「ストーリー」を書くのはどうでしょうか。具体例を物語形式で示す方法。

お話を作り、利点や問題点を挙げていく。アジャイル開発で「ペルソナ」とか「ストーリー」と呼ばれる手法ですが、むしろブログに向いている表現法だと思います。このときコード引用がそれっぽい。スクリプトの引用にしか使わないのではもったいないかも。

ちなみに、先頭に空白を4つ置けばコード引用。

    Aさんは今年入社したばかりの若手サラリーマン。
上司に報告書をメールしようとしていた。そのとき初めてMarkdownの存在を知り・・・
上のように書くと、下記のように表示されます。

Aさんは今年入社したばかりの若手サラリーマン。
上司に報告書をメールしようとしていた。そのとき初めてMarkdownの存在を知り・・・


まとめ

<section>−HTML5タグリファレンス
<section>タグは、ウェブページ内のその部分が、一つのセクションであることを示す際に使用します。セクションとは、文書やアプリケーションの一部分となる、意味や機能のひとまとまりのことです。 ウェブ...

実は、Markdownの構造化はsectionタグの元ネタじゃないかと思います。Webページで記事の部分をarticleタグで括り、その中の構成要素をsectionタグで囲む。そうすることで、ページの要約を機械的に行うことが可能になります。それがHTML5で目論まれている。

このsectionの構成が、まずhタグで見出しをつけてから段落を並べるものなので、Markdownの文章構造と一緒なんですよね。SGML言語に起因する骨組みなのでしょう。その書式、論旨の組み立て方が身についてくると、Markdownの作法は理に適って見えます。


空行を開ける方法
そうそう、「空行」を見つけました。


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この魔法の記号を使うと、行が消えます。一見何もないように見えるけれど、空白が埋め込まれた行が出来る。なぜかMarkdownは無視しません。超裏技です。