MoleskineのカレンダーアプリTimepageが購読制に移行しました

同じカレンダーでもこんなに印象が変わるものなのか。Moleskineはアプリを出し始めた頃あまり魅力がなかったのですが、日に日に改善を重ね「美しいとは何か」を提案するレベルに達しています。シンプルな構造に機能美が備わっている。

「アプリ美学」というジャンルがあるなら、これは年表に載るんじゃないだろうか。ボタンや文字で誤魔化さない。操作がそのままデザインである世界。


Timepage

Timepage 2.7.2
分類: 仕事効率化,ビジネス
価格: 無料 (Moleskine Srl)

Moleskineが一昨年5月に出したカレンダーアプリ。3日前から「メンバーシップ制」という購読モデルに切り替わりました。一年契約で1,350円。7日間の試行期間があり、更新しなくても純正カレンダーのビューアとして使えます。URLスキームは「timepage:」。

timepage://add_event?title=タイトル

  • Does Timepage have a URL scheme? - Moleskine Timepage

  • カレンダー画面

    カレンダーの画面で上下にスワイプすると前後の月に移動します。右からスワイプすると年間カレンダー、左からだと週間表示になります。直感的なインターフェース。

    通知センターにもMonthウィジェットとして、同じような月間カレンダーを表示します。そこからも新しいイベントの登録が簡単にできるようになっています。


    入力画面

    週間表示で日をタップすれば詳細表示に変わり、そこで下方向にスワイプすれば、イベントの入力画面。時刻の帯をスライドして設定し、イベント名を書き込めば場所やノートを追記する画面に移ります。入力が途切れないデザインになっている。

    反対に削除したい場合は長押してドラッグ。下段に「ー」ボタンが現れるので、そこにドロップするだけでイベントの削除ができます。

  • Timepage - Apps - Moleskine

  • ワード・コレクター

    日記って書くことがないんですよね。イベントばかりの華やかな生活は送っていません。そうなると「日記」の概念を考え直す必要がある。学級日誌ではないのだから、起こった出来事を書く義務はない。そうではなく「新しく知った言葉」を残す場にしていく、と。

    そう方針を変えると、意外と書くことが見つかります。知らない言葉や概念はこの地上に溢れ、毎日出会います。それを書き留める。これを繰り返すと時間の加速を止めることができます。昔から知っているように思っていた用語や人名が、意外と一年前くらいの出会いだったりします。「今年もあっという間に過ぎた」と思いがちですが、そんなに早くない。一日一日積み重ねてきたものがある。目を覚まして生きているアンチエイジング


    Textwellから書き込む

    Textwell 1.8.5
    分類: 仕事効率化,ユーティリティ
    価格: \360 (Sociomedia)

    とはいえ、Moleskineはビューアでも良いかな。カーソル行や選択範囲をカレンダーに保存するアクションを2つ用意しました。Timepageに課金しない場合は下の方でどうぞ。

    Timepageに直接書き込むタイプ:
    Import Textwell ActionTimepage

    純正カレンダーに書き込むタイプ:
    Import Textwell ActionCalMemo


    まとめ

    サブスクリプション制を採用するアプリが増えてきました。無料で提供しないと試してもらえない。買い切りだと、バージョンアップが無償になってしまいメーカー側がジリ貧になる。購読制は苦渋の選択ではなく、アップルが提供するAppStoreの持つ構造的な制約ですね。パッケージ販売ではなくなったことで、メーカーがどう存続するか模索している。

    Moleskineの「メンバーシップ制」は、紙の手帳なら毎年買い替えが起こることの外挿です。物理世界のメタファーを無形のアプリに転用している。これが通用するかどうかは今後の展開次第。もしかしたら一年後にメンバーシップ制を取りやめるかもしれない。

    アプリはバーチャル世界での生き物です。どんなモデルを採用すればそこで持続できるか。誰にもわかりません。わからないのに、大元のアップルはOSをコロコロ切り替え、動かないアプリを作る。環境の気まぐれな変化が美を生み出す。その不思議な生態系。