MANHA DE CARNAVAL (Morning of Carnival)

豆食べました？　今日は節分。欧米ではカーニバル。どちらも、邪悪なものを追い払い、冬の衰えた太陽に元気を取り戻してもらうためのお祭りです。お天道さんも、寒さに負けないで！

MANHA DE CARNAVAL (Morning of Carnival)
1959(Antonio Maria / Louiz Bonfa) David Miles

Manha, tao bonita manha
Na vida uma nova cancao

朝よ、こんなにも美しい朝よ
この世に新しい歌が生まれる
あなたの瞳を、その微笑みを
その手を歌うためだけの歌が

そして、新しい日の光が訪れ
あなたと出会う一日が始まる

あなたの愛を探そうと爪弾く
僕のギターの調べのなかから
口づけを語る言葉が聞こえて
あなたの唇へと消えるだろう

僕の心は歌う、甦った喜びを
この愛に包まれた至福の朝を

ポルトガル語はわからないので、英訳を見て訳してみました。「一日」は、時間が来れば「朝」になるのではない。「一日を生きよう」という、人間側の意志があって初めて「朝」になります。太陽が昇っていても「夜のまま」ということもある。まして、愛する人がいるなら、その人にこの「一日」を捧げようと願うことで、その「一日」がかけがえのない「永遠の時」になる。そうした視点の転換がある歌。
邦題『カーニバルの朝』。1959年マルセル・カミュ監督映画『黒いオルフェ』の主題歌。カンヌ映画祭ではパルム・ドール（最優秀作品）となった。ルイズ・ボンファの原曲はサンバ・カンシオンの形で作られたが、ボサノヴァにアレンジされて演奏することが多い。英詩は1963年にジョージ・デヴィッド・ワイスが「カーニヴァル」の題で書きペリー・コモが歌ったバージョンと、1966年カール・シグマンが「A Day in the Life of a Fool」の題で書き直しフランク・シナトラが歌った「ダメ男」のバージョンがある。

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原作はヴィニシウス・ディ・モライスの戯曲「オルフェウ・ダ・コンセイサゥン」。「イパネマの娘」の作詞をしたモライスです。1959年の戯曲をそのまま映画化。もちろんモチーフはギリシア神話「オルフェウス」で、亡くなった妻を探し求めて地獄をさ迷う男の物語。それをリオ・デ・ジャネイロに舞台を代え、消えた恋人を探し求める現代劇に作り直しています。「カーニバルの朝」は鉄道運転手のオルフェが子ども達にせがまれ唄う歌。「オルフェはギターで太陽を昇らせるって本当？」「本当さ。こういう風にするのさ」。その歌が隣家に来ていた娘ユリディスの心をとらえ、二人は恋に落ちる。映画の最初からカーニバルに湧き立つ街が映され、最後までずっと誰かが踊っている。なんてエネルギッシュ！（この国で生きていく自信は無いなあ）　1999年にもリメイクされています。

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この人が歌うと、薄幸そうな感じになる。それが「黒いオルフェ」の映画のイメージに合っているかも知れない。合ってないかも知れない。

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1743年にジュゼッペ・グアルネリが作りパガニーニが愛用したバイオリン。そのバイオリンの今の所有者が彼女。レジーナ・カーター。表現豊かに表情を変える音色。音楽の神オルフェウスに捧げています。

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やっぱり名盤。ジム・ホールのギターに、ポール・デズモンドのアルト・サックスが幻影的にかぶさっている。聴いていると、力が抜けていきます。

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同じサックスでもこちらはバリトン。もの静かにアート・ファーマーのトランペットから主題に入り、それを受け継いでジェリー・マリガンが染み渡る曲想を展開していきます。こちらもなぜかジム・ホール。

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最後もやっぱり弦楽器。屈指のギタリスト三人衆が集まって、このボンファの名曲を料理しています。でもこの３人を聞き分けるのは難しいと思う。かっこいい。