Googleリーダーの撤廃が新しい時代を切り拓くかもしれない

いま熱い話題に乗ってみた。今日は一日寒かったけど。


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春は大掃除の季節。そんなわけで、Googleが昔からあるサービスをザッパリと切り捨てています。買収したばかりのSnapseedから撤退してるのが驚きますが、一番衝撃があったのがGoogleリーダー。6月いっぱいで終了だそうで。「ニュースサイトやブログの更新チェックに使ってるのに」と嘆く声がネットを埋め尽くしてる。
けれど、それは一部のユーザーかもしれません。たぶん一般ユーザーは使ってない。知らないと思うし、知っていても面倒だと思っている。温度差の激しい部門です。
http://www.google.com/reader


http://m.youtube.com/watch?v=A25VgNZDQ08
総統閣下はヘビーユーザーでGoogleにお怒りの様子。英語ですけど。


Feedly: Your Google Reader, Youtube, Google News, RSS News Reader 12
分類: ニュース,エンターテインメント
価格: 無料 (DevHD)

Transitioning from Google Reader to feedly | Building Feedly
ただ、慌てて他に移行することもないと思うんです。たとえば、Googleリーダーが使えるFeedly。7月以降は自分のところでRSSリーダーを引き継いでくれる。互換APIサーバーまで作って。いま登録してあるままで、変わらず使い続けることができます。
iPadの美しい新聞アプリ feedly


We’ve Got Your RSS Covered! Save Your Google Reader Feeds Now
それと、毎日チェックしているFlipboard。これにもGoogleリーダーを登録しています。Flipboardのアカウントを取得すると、データが引き継がれるようになっている。つまり、移行を意識しなくても、今まで通りのことがFlipboardでも出来ます。
Flipboardのキャッシュを消して軽くする方法


そんなわけで、何もしなくても7月を迎えることができる。現状でも困らない。というか、RSSというシステムは枯れている技術なので、7月までに新しい活用法を提案するサービスも出るでしょう。一般ユーザーも対象に、もっと簡単に登録できて、データが多くても読みやすい。そういう新世代のビジネス・チャンスをGoogleは開放してくれた。
これからが未知数な分、後で振り返ると、Googleリーダーの消失が新時代への幕開けになるかもしれません。実際RSSを使わなくても、URLをブックマークすれば更新はわかるだろうし。Tweetの数で絞り込めたりとか。可能性は無限。何が出てくるか楽しみです。


(追記)

マクルーハンの光景 メディア論がみえる [理想の教室]
宮澤 淳一
みすず書房 (2008/2/19)

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一日Googleリーダー関連の記事を追いかけてみて思ったのが、ネットからの情報に対し受け身なユーザーが増えたんだろうなあ、という感想。インターネットは、マクルーハン的には「クールなメディア」だと思う。「クール」というのは、ユーザー側から働きかけないと動き出さないモノを指す。待っていても、何も届かない。そこにユーザーが関与する余地があり、その関与によって自らが照らし返されることで「個性」がユーザーに生じる。
でも、その「クールさ」に耐えきれない人たちが増えたのだろうと思う。増えたというよりも、ネットの世界に入って来れるようになったのかな。その人たちは、情報が向こうからやって来るのを待つ。何もしなくても、贈り物が届けられるのを当然と考えている。テレビ的な「ホットなメディア」に慣れ親しんでいるからである。
「クールなネット」には、そうした人たちは入りづらかった。ところが、YahooやGoogleポータルサイトが登場することで敷居が下がった。とりあえずアクセスすれば、いまネット上で何を見るべきかが分かる。そういうサイトを準備した。これを受動的な人たちは「新聞」や「テレビ」のように考え、そうしたメタファーでネットを利用するようになった。
Googleリーダーはその「ホット化」の延長にある。RSSは「情報が届けられるシステム」である。Googleはそう考えこのサービスを開始し、そして、思ったほど受動的な人たちを惹きつけることができなかったのではないか。
受動的な人たちになら、情報の合間に「折り込み広告」を入れれば、受動的に商品を買ってもらえる。けれど、RSSを使うユーザーは能動的であった。そして、ケチなんだろうと思う。自分から情報を取捨選択する人間は「大衆向け」のものには食指が動かない。「クールな記事」を探して彷徨うからである。Googleの求めているタイプではない。
そんなわけで、初めからGoogleRSSはミスマッチだった。ホット化は、それはそれで必要である。生活に関連した情報が増えるから。そして、アクセスするサイトを分析し、ユーザーに合った広告を表示するのがGoogleの基本姿勢で、企業として当然のこと。
ただ「クールさ」を求める人間はいつも一定数いる。そうした人たちは別の手段を取ればいいし、実はそうした「別の手段を探すこと」自体が好きな人たちだったりする。悲嘆してるようでいて、楽しそうにサイト巡りをしてる様子がどのブログからも滲み出ていて、それが今回の騒動で面白いなあと思いました。