AGUAS DE MARCO - W&R : Jazzと読書の日々

３月の雨音を聴きながら。

AGUAS DE MARCO
1972(Antonio Carlos Jobim) Holly Clark

And the riverbank talks
Of the waters of march
It's the end of the strain
It's the joy in your heart

棒切れ、石、道路の終わり
踊りの合間、わずかな孤独
ガラスの欠片、人生、太陽
夜、死、罠、銃

花咲く樫の樹、薮の中の狐
林中の結び目、ツグミの声
風に靡く木々、断崖、落下
創傷、マヌケ、何も残らず

吹き渡る風、坂道の終わり
一筋の光、無、予感、希望
岸辺は語る、三月の水を
苦悩は終わり、心は安らぐ

足、大地、肉、骨
道路の響き、パチンコの石
魚、きらめき、銀色の輝き
ケンカ、賭博、船首の辺り

吹き抜けの寝床、線の終端
狼狽してる顔、喪失、発見
槍、杭、尖頭器、釘
水滴、雫、お伽噺の終わり

煉瓦の車道、柔らかな暁光
一撃の銃声、死に逝く夜
マイル、義務、衝迫、破裂
少女、リズム、風邪、流感

家の設計図、横たわる身体
動かぬ自動車、泥、泥
浮かぶ、さ迷う、飛ぶ、翼
大鷹、ウズラ、春先の前兆

岸辺は語る、三月の水を
苦悩は終わり、心は安らぐ

最初に聴いたとき「お経みたいだな」と思いました。短い単語の羅列。音の繋がり。意味の繋がり。湧いてくる自由連想をただそのまま書き留めたもの。雨滴のようなリズム。それでいて根底を流れるテーマがある。何かが終わり、何かが始まる予感。それが三月。
邦題『三月の水』。英語だと『Waters of March』。45歳のアントニオ・カルロス・ジョビンが作曲。ポルトガル語の詩も英語の詩も彼自身が作っている。リオ・デ・ジャネイロの三月は、北半球では九月に当たり、夏から秋に向かう雨の季節。人生の後半に向かうイメージが綴られている。

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『Elis & Tom』を敢えてハズして、ジョビンはこれで。最初に「三月の水」を発表したアルバムです。ポルトガル語が一曲目。英語詩が最後の曲。何かに取り憑かれたかのように単語を並べていくこの曲は当時斬新だったろうなあ。今で言うと、ラップ？

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私は私の唄を歌うわ。ということで、姐御が唄うとブルースです。軽くは流さない。どの単語にもソウルを込めていく。ラテンの魂を知らないのにラテン調に唄うなんて、相手に対しても失礼よ。

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