一月の曲

おっと、七草粥を食べ忘れてた(2010年分はこちら)。


A FINE ROMANCE 素敵なロマンス
BILLIE’S BOUNCE ビリーズ・バウンス
I’VE GOT THE WORLD ON A STRING 世界は私の思うまま
I’VE GOT A CRUSH ON YOU 君に首ったけ
FOR SENTIMENTAL REASONS フォー・センチメンタル・リーズンズ


恋にはいろんな形がある。去年の一月はラブソング。上品に澄ました恋から、ボロボロのぐちゃぐちゃまで。日本の和歌にも恋の歌は多いし、やはり小鳥が唄を歌って求愛するのと同じ仕組みなのかな。
人間の「言葉」の起源がラブソングだったという説があります。唄を歌う動物というのは限られているんですよね。呼吸を制御しないといけない。さて、どんな動物が唄を歌うでしょう? 三種類あります。そう、トリとクジラと人間。自然と行われるべき呼吸を意志で調整するのは不自然なこと。トリは空を飛びます。だから、呼吸を調節する。イルカやクジラは海に潜ります。それで肺呼吸の制御ができる。その制御のスキルを異性に聴かせることで、自分の魅力をアピールする。それが「唄」の始まりとされています。

言葉の誕生を科学する (河出ブックス)
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翻って、人間はどうしてなんでしょう? なぜ歌うようになったのか。サルは歌いません。生まれるときも産声を上げない。サバンナで声を出すのは肉食獣に見つかる危険がある。ところが人間は産声を上げます。それが元気な証になる。不思議ですね。どういう理由があるんだろう?


http://youtube.com/watch?v=knrWemeHm3s

Forget Not
Forget NotStephen Anderson

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理由なんていろいろある。前に訳したとき「For Sentimental Reasons」を「千々に心乱れて」と解釈したけど、実際そうですね。人間の心は物理法則じゃないんだから、一つの因果関係で何かが決まるほどヤワじゃない。いろいろ絡み合って、とてもじゃないけど言葉に出来ない。ましてや恋をするのに「理由」があるわけがない。論理思考で恋愛なんてしません。好きだから好き。言葉に出来ないから、歌うしかないんだよなあ。
さらに、歌でも表現出来ないなら楽器を弾くしかない。ノースカロライナ大学でジャズを教えるステファン・アンダーソン先生。「音楽」を教えるなんて、それこそ言葉では出来ない。もっと基盤の情感の部分。生徒たちに伝えるには「聴かせる」しかない。そんなわけで、公開授業が高じてCDになっちゃってます。確かにテクニックではない。ハウツーでは教えられないもの。一音一音、細かく自分を割りながらの表現。どの瞬間も気が抜けない。「音楽」に向き合う姿勢の伝達。先生って、生徒たちに舐められないためには努力が要るんだね。
http://artiststephenanderson.com/