LITTLE DRUMMER BOY - W&R : Jazzと読書の日々

さて、今年のクリスマス・プレゼントはどうしよう？

LITTLE DRUMMER BOY
1958(Katherine K. Davis, Henry Onorati, Harry Simeone) Paul Adams

"Come", they told me, pa rum pum pum pum
"A new born King to see, pa rum pum pum pum
Our finest gifts we bring, pa rum pum pum pum
To lay before the King", pa rum pum pum pum

「おいで！」と皆は言った
「お生まれになった王を見に行こう
　素敵な贈り物を携え彼に捧げよう」
それで彼を讃えるためにやってきた

「幼子よ、私もまた貧しき少年です
　捧げるべき贈り物を持ってません
　王に相応しいものなど我が身には
　・・・
　せめてこの太鼓をお聴きください」

マリア様はうなずかれた
牡牛と仔羊が拍子を取り出した
私は太鼓を叩く、精一杯の太鼓を叩く

そして、彼は微笑まれた
私と私の太鼓に向かって

「らぱぱんぱ〜ん。私も貧しき身です。何も持っていません。私にプレゼントしてくださぁーい」。ついつい、そう言ってしまいますが、この歌は反対ですね。少年は初めに贈り物をもらっていたのです。神様から。太鼓を叩く才能を。それをお返しする。「gift」に「贈り物」と「才能」の二つの意味がある、というか「才能」を「神からの贈り物」と考える価値観から生まれている曲です。

『太鼓のキャロル』とも呼ばれる曲。ハリー・シメオンが20世紀の賛美歌を作ろうと思い、宗教音楽の作曲家キャサリン・デイヴィスとヘンリー・オノレイティに協力を要請して作った。シメオンたちの、音楽家であることの誇りを感じます。

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ハリー・シメオン合唱団の歌声。太鼓をバスの低音で表現し、そこに少年たちの主旋律が太鼓少年の心情をかぶせていく。天上の神様も微笑んでおられそう。シメオン合唱団が歌ったこの曲は1958年から1962年の間ヒットを続け、ミリオンセラーを記録しました。

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ビング・クロスビーがデヴィッド・ボウイと歌う「リトル・ドラマー・ボーイ」。1977年のTV特番『ビング・クロスビーのメリー・オールド・クリスマス』での収録。74歳のクロスビーにとって最後のTV出演でした。

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ジョー・パスの直弟子ラリー・カールトン。1970年代はジョー・サンプルのジャズ・クルセイダーズに参加し、1977年にソロ・デビュー。グラミー賞を何度も受賞するほどの活躍だったが、1988年に自宅で銃弾を撃ち込まれる事件が起きる。声帯に損傷を受ける重傷。しかし彼はカムバックしました。それが1989年のこのアルバム。

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デイヴ・コズ。1963年生まれのサックス奏者。フュージョン界新進気鋭の若手も、もう中堅どころとなっちゃったか。FMラジオJ-WAVEの番組「Smooth Air」でパーソナリティもしています。

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このモチーフはアナトール・フランスの短編小説『聖母の軽業師』に由来するみたいですね。「貧者の一灯」というか、持たざる者が精一杯の贈り物を神様に捧げようとする。見返りなどなく。太鼓を叩く。そのことだけで、もう嬉しい。晴れ晴れした気持ちになって来る。キリストの微笑みは「それで良いんだよ。私はあなたたちのその姿が見たいんだ」なのだろうな。