SCARBOROUGH FAIR

せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ 春の七草


SCARBOROUGH FAIR
19c(folk song) Dave Milliken


Are you goin’ to scarborough fair?
"Parsley, sage, rosemary and thyme"


スカボローの市にこれから行くのかい?
"パセリにセージ、ローズマリ、タイム"
そこに住む人に言伝てしてくれないか?
その人はかつて僕の恋人だった人なんだ


彼女に、針も使わず縫い目もないような
"パセリにセージ、ローズマリ、タイム"
亜麻製のシャツを作って、と伝えてくれ
それが出来たら本当の恋人と言えるから


分かったわ、彼に伝えて、海と浜の間に
"パセリにセージ、ローズマリ、タイム"
1エーカーの畑を見つけてきて頂戴、と
それが出来たら恋人に戻ってあげるから


そこで育てた亜麻を革製の鎌で刈り取り
"パセリにセージ、ローズマリ、タイム"
ヒースを縄にして縛って下さるかしら?
それが出来たら恋人に戻ってあげるから


「出来ない」と言うなら、こう答えてね
"パセリにセージ、ローズマリ、タイム"
せめて「やってみる」と言って欲しいわ
でなきゃ私たち、恋人に戻れやしないの


「パセリにセージ、ローズマリー、タイム」。中世イギリスの薬草売りが使った売り口上。パセリは食欲増進、セージは免疫回復、ローズマリーは血行促進、タイムは精神安定に効能があります。この4つで、だいたいカバーできる。ところがこの薬草売りの人、とんでもない伝言を頼まれてしまいました。「針で縫わずにシャツを作れ」だって? しかも相手の女性に伝えたら「海と浜辺の間に畑を用意してくれたらね」だもの。この二人、ヨリを戻す気があるのやら、ないのやら。薬草売りさん、恋人たちのケンカに効くハーブはありませんよね?
スカボローとはヨークシャ地方の港町スカーバラのこと。中世にはここで大規模な市が開催された。「スカボロー・フェア」は16世紀ごろ吟遊詩人たちが歌った唄。曲も詩も吟遊詩人によってまちまちで、もっとムリな注文を応酬し合う内容になっている。19世紀末には今のメロディに定まり、1966年サイモン&ガーファンクルが歌い、翌年ダスティン・ホフマン主演映画『卒業』に使われ大ヒットした。

民謡歌手というのことになるのかな? ケルティック・ウーマンで。


パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム
パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイムサイモン&ガーファンクル

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star美しさと現実感を織り交ぜた作品
starこれは、素敵なタイトルの第3作
starクリアな音源で名作がよみがえりました

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マーティン・カーシーポール・サイモンに伝えた曲。でもサイモンの歌詞は少し違い、男性が一方的に注文をつけながら、最後の「出来ないと言うなら」のところがない。ただの無理難題になっている。なぜ? それを解く鍵は、並行して歌われる「Canticle」にあります。「将軍は兵士たちに言った。殺せ、戦え、と。でも何のためにかは誰も覚えていなかった」。恋人への言伝てを頼む若者は兵士。「たぶん、生きて帰れないだろう。僕の死で悲しませたくない。早く諦め、新しい幸せを見つけてほしい」。そうした想いを読み込むことが出来るかも知れません。


明日に架ける橋
明日に架ける橋ポール・デスモンド

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starサイモンとガーファンクルポール・デスモンドの組み合わせの妙
star稀有なミュージシャン

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サイモン&ガーファンクルの名曲をジャズに収めた作品。ポール・デズモンドの、いつ聴いても温かいサックス。「スカボロー・フェア」は、自作の「テイク・ファイブ」と同じ5分の4拍子を使い、ノリの良いジャズになっています。リズム・セクションにロン・カーターハービー・ハンコック。1969年なのに、もうフュージョンしてます(試聴はこちら)。


ロード・ソング
ロード・ソングウェス・モンゴメリー

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star30年前に連れてって。
starロードソング
starエスのおしゃれな一枚

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こちらは1968年ウェス・モンゴメリー。この人がギターを弾くとポップ・ソングがもっとポップになります。美しいオーラを放つ。でも1ヶ月後、心臓発作で他界。45歳。まだ脂の乗っている頃だったのに。合掌。なぜかこちらにもハンコックが参加。


The New Standard
The New StandardHerbie Hancock

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starボブ・ベルデンのアレンジがいらない
starハンコック15年ぶりの生ピアノアルバム
starこれ、原曲のミュージシャンが聴いたら怒らないか?

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そしてハンコック自身の「スカボロー・フェア」。1995年こちらはマイケル・ブレッカーが吹いています。さらにジョン・スコフィールドのギター、ディジョネットのドラム。ドライブ感のあるハード・バップな演奏に追い立てられて、スカボローの市場を通り越してしまっています。これは唸ってしまう。


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VSOD -Very Special Ordinary Days-ゴンチチ

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ダンロップのCMで使われている「スカボロー・フェア」(こちら)。ほっとします、ゴンチチ。去年デュオ結成30周年を迎えました。おめでとうございます。スカボローの恋人たちは、この二人に仲良しの秘訣を教えてもらってください(原田知世さんの唄入りはこちら)。