DEVIL MAY CARE

今年の五月はどうしたんだろう？　また寒くなった。


DEVIL MAY CARE
1956(Terrell P. Kirk Jr. / Robert Dorough) Carolyn Lee Jones


No cares for me
I'm happy as I can be


気にすることなんてないよ
僕はいま最高に幸せなんだ
これが生きるってことかな
向こう見ずに走っていこう


悲しむ必要なんてないのさ
来るものはやがて去りゆく
何も手許に留めたりせずに
向こう見ずに走っていこう


日暮れと共に悔いを残さず
苛々してると夜まで損だよ
朝の栄光にしがみつくのは
愚か者の考えるようなこと
過去を変えるすべなどない
それくらい分かるだろう？


今を生き明日や五月を愛せ
溜め息をついても仕方ない
そんな風に生きて死にたい
向こう見ずに走っていこう


ポジティブ・シンキングかと言うと、そうでもない。決して「良いこと」が訪れるわけではない。「悪いこと」もやって来る。でも自然の摂理として、何ごとも過ぎ去っていく。ところが人間、心配したり後悔したりして、「来たもの」を手放さないから苦しむんだよ。って、これはデビル・シンキング？
1956年ボブ・ドローがデビュー・アルバムで発表した自作曲。ボブ・ドローは、マイルスをバックに唄を歌った唯一のジャズ・シンガー（『ソーサラー』）。1970年代にはディズニーの教育番組『スクールハウス・ロック』を担当。アメリカのロックンローラーはこれを見て育ったんだそうな(YouTube)。



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またダイアナ・クラールになっちゃいました。1999年グラミー賞受賞アルバム。存在感があります。


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これが本家本元ボブ・ドロー。スタンダードを中心に歌っているのですが、どうも変。これ、歌唱力がないのでしょうか？　それともアレンジの天才なのでしょうか？　聞き慣れた曲なのに違和感バリバリ。音楽の脱構築を半世紀も前にやってるところが凄い。なるほど「向こう見ず」なアーティストです。
　http://www.bobdorough.com/


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チャーリー・パーカーの「ヤードバード組曲」を声で表現したボブ・ドロー。これに惚れ込んだのがマイルス。クリスマスソング集の企画を持ち込まれたとき「俺の演奏に歌？　じゃあ、ボーカルはボブにしろ」とダダをこね、1962年「Blue Xmas」が生まれました。お返しにマイルスも「デヴィル・メイ・ケア」を演奏。でも、収録された『Basic Miles』はいま廃盤ですね。『マイルス＆ギル・エヴァンス』か、上の『ウインター・ジャズ』でどうぞ。


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現代ジャズを代表するトロンボーン奏者コンラッド・ハーウィグ。最近はマイルスやウェイン・ショーターの曲をトロンボーンでアレンジ、という企画モノを連発して、それがまたカッコいいから評判になってますが、もちろんオリジナルでもカッコいい。自作曲と、元ボス・ジョー・ヘンダーソンの曲を散りばめた中に「デヴィル・メイ・ケア」が入ってます。向こう見ずに突っ走って行くぜ！
　http://www.conradherwig.com/


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そう言えば、ジェイミー・カラムの2002年デビュー・アルバムにも入ってました。自主制作CDが飛ぶように売れ、プロに転向。この無茶ぶりがデヴィル・メイ・ケア。間奏のトランペットが良いと思うよ。
　http://www.myspace.com/jamiecullum