iPhoneでScrapboxを使う際、3つの弱点があります

Scrapboxリゾームである。


現在困っていること

もしTextwellがScrapboxを呑み込んでしまうとしたら?
近未来的なテクスト空間が垣間見える。一時的にAppStoreから消え、どうしたのかと思っていたのですが、バージョンアップして帰ってきました。iOS10に最適化された最新版。使い勝手はそのままだけど、内...

Textwellのバージョンが上がり、Scrapboxへのアクセスが簡単になりました。これでiPhoneでも読み書きができる。そう思って、ここ数日運用していて困ったのが下記3点。いずれもScrapbox本体がiPhoneに完全対応してくれないと解決しないことです。

  • 編集でカーソルが効かない。
  • 作成日がわからない。
  • 上書きや削除ができない。


1つの解決策

Textwell 1.7
分類: 仕事効率化,ユーティリティ
価格: \360 (Sociomedia)

それで思いついたのが、タイトルにタイムスタンプを入れてしまう方法です。このTextwellアクションは本文の一行目をタイトルとして扱いますが、そこを「タイトル [日付]」という形式で埋め込んでしまう。新規ノート扱いでScrapboxに保存する仕様です。

ソース内の変数HOMEをご自分のScrapboxアドレスに書き換えてお使いください。でないと、どこにアクセスすればいいか、Textwellにはわかりません。

Import Textwell ActionScrapbox


編集でカーソルが効かない

WebView上での編集を諦めるしかありません。Scrapboxのすごいところは、一文字ごと一行ごとにメタデータが追加され、修正した人の名前や更新日が埋め込んであることです。共同作業を第一に考えてある。カーソルの無効化はその副作用のようです。

そこで「ノートを編集するには一度Textwellに読み込んでから」という方法を採用します。WebViewでは修正をしない。内蔵ブラウザを一度閉じ、Textwellに落としてから書き換える。そして改めて、そのテクストをScrapboxに保存します。

ただ、この方法だと次々に新しいノートが追記されていく。一人で使う分には問題ないものの、共同作業で使うとしたら、相手がノートAを訂正しているときに、別のノートBを作ってしまうわけで、かえって不便かもしれません。Notaの対応を待つしかない。

  • Scrapboxはスライドカーソルを実装するとiPhoneでも使いやすい

  • 作成日がわからない

    タイトルにタイムスタンプがつくので、作成日は一目瞭然になります。日付と時刻が追加されます。同名のタイトルが存在しないことになり、既存ノートとのバッティングが起こりません。「保存したつもりが保存してなかった」という事態が生じない。

    ただ、タイムスタンプはあくまでも補助的な情報なので、Textwellに読み込むときは取り外すことにしました。タイトルは、もとの題名だけに戻ります。これを書き換えていけば、タイトルの後ろにタイムスタンプが2つも3つも並ぶことはありません。


    上書きや削除ができない

    これに関してはどうしようもありません。というか、iPhoneから簡単に上書きや削除ができてしまうと、共同作業ノートとして不具合が生じるのは明らかです。別の人から見たら、自分が書いた文章を急に消されるわけですから。大きな問題を秘めている。

    たとえパソコンからであっても「上書きや削除」は共同作業ノートには禁忌なのです。それを可能にするには、本来システム自体にリビジョン管理の仕組みが必要になります。1つ前のバージョンに戻す方法があれば、上書きによる混乱を避けられる。

    実はScrapboxは内的にリビジョン管理をしているそうです。履歴が作られていてAPIもある様子。ただ、どういう実装をすると手軽に扱えるかのインターフェイスを考案中のようです。iPhoneからの上書きや削除は、それを待ってからですね。


    問題点

    このアクションには字数制限があります。URLに追加する方式なので、URL自体に長さ制限があるらしい。経験的には2000文字くらいかな。


    まとめ

    保存するときに確認ボックスを出すことを一度考えました。でも採用してません。これはTextwellの「一枚の紙」というコンセプトに呼応しています。

    「紙」に「保存」という概念はないですよね。書いた文章は書けば紙に残ります。現実の筆記用具に「保存」は存在しない。「保存」は、磁気テープにデータを書き込まざるを得なかった「過去のコンピュータ」の苦肉の策です。機械的な制約のため「保存」という概念が生まれ、それが「慣習」となり、無反省に現在も残っています。iPhoneアプリにはその陋習に対抗するタイプがあり、DraftPad(Textwellの前身)はその先駆けだったと思います。

    もちろん「紙」にも「保管」はあります。書いたメモをネタ帳に貼り付け、保管しておく。それは思考の変遷を追いかけるためのツールです。しかも幸い、今回「Scrapbox」という名作に巡り会えた。現実空間の執筆感覚が電子上に拡張される。そうしたツールは、自己の存在を主張してはいけません。空気のようなアクションになることを目指しています。

  • ScrapboxからTextwellへの読み込みが速くなりました