JUST ONE OF THOSE THINGS

今日も暑い。こんな日は、白くまアイスでクールダウン。それが僕のよくあること。


JUST ONE OF THOSE THINGS
1935(Cole Porter) Mad Cat


It was just one of those things
Just one of those crazy flings
One of those bells that now and then rings
Just one of those things


それはただのよくあることの一つ
よくある気の迷いのようなもの
いつもの鳴り響くベルと同じこと
それはただのよくあることの一つ


それはいつものよくある夜の一つ
お伽噺に出てくる夜間飛行と同じ
か細い羽根で月へと飛ぶような
それはただのよくあることの一つ


恋が終わる前に少しでも考えていたら
色づく町を見ながら気づいたでしょう
二人の想いがあまりに熱く
クールダウンできなくなっている、と


では、おやすみなさい、お幸せに
ここでまたいつか逢えますように
本当に楽しかったけれど
それはただのよくあることの一つ


初めは恋の気持ちを「よくあること」と言いながら、終わりでは失恋の別れを「よくあること」と歌う曲。心に痛みを感じながら「よくあること」と言い聞かせている。この歌、fling がわかりません。「衝動」という意味で訳しましたが、スコットランドに「フリング」というのがあり、そのイメージもある気がします。闘いの前に兵士が勝利を祈る踊り。槍の上を飛び回る激しい踊りで、その狂気じみたところが熱愛の心境に近いかな。
邦題『よくあること』。1935年のミュージカル『ジュビリー(聖なる年)』の曲。でもこのミュージカルでは「ビギン・ザ・ビギン」のほうが有名かも。1951年にドリス・デイ『ブロードウェイの子守唄』で取り上げリバイバル・ヒットし、1954年『ヤング・アット・ハート』で彼女との共演のシナトラが歌い、またもやシナトラの定番になってしまった。


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これほど奇麗にジャジーにまとまっている「よくあること」も珍しい。よくあることではない。ランラリリリリゥイオー♪ のスキャットも非の打ち所がない。キャロル・ウェルスマンバークリー音楽大学卒業のピアニストで、カナダを中心に活動してるようです。


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コール・ポーターの曲を集めたアルバム。これ、チャーリー・パーカーがやってるんですよね。すると後の人は「よくある演奏」では太刀打ちできなくなる。結構、高いレベルにハードルを置かれてしまいます。さあ、大変。


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そんなことお構いなしに、同じテナーサックスでバリバリ吹くキャノンボール。「え? オレ、フラれたの? じゃあ仕方ないね」の能天気さ。ミルト・ジャクソンの鉄のヴァイブがサポートしてくれてるので安心(試聴はこちら)。


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こっちはハンク・モブレーのテナーサックス。なにしろ、アート・ブレイキーのドラムにケニー・ドーハムのトランペット、ホレス・シルバーのピアノが重なって、凄いハイテンションで押し通します。これがまさに「フリング」なんだと思う。そんなわけで、フラれたことにさえ気づかず演奏が終わってしまう「よくあること」です。