SPEAK LOW

暑いのはまだまだ続きそうですが、夜になると虫の声が聞こえてきます。夏ももう終わろうとしています。


SPEAK LOW
1943(Ogden Nash / Kurt Weill) Kari Gaffney


Speak low
When you speak, love
Our summer day withers away
Too soon, too soon


声を潜めて囁いてください、あなた
私たちの夏はすぐにしおれてしまう
愛を語るときは、小さな声で
時は耳聡く、二人は難破船のように
押し流され、すぐに別れ別れになる


声を潜めて囁いてください、あなた
恋は火花、すぐ闇へと消えてしまう
どこに逃げても、明日が追ってくる
近くに気配を感じたらもう遅く
すぐに今を乗っ取り、居座っている


時は狡猾、恋は薄命
恋は純金、時は盗人


すでに遅い、私たちはいつも手遅れ
幕は下がり、すぐに全てが終わる
私は待っています、ただ待ってます
お願い、あなた、小さく声を潜めて
私に愛を囁いてください、今すぐに


作詞のオグデン・ナッシュは詩人で絵本作家。ダジャレで面白い詩を書く人らしい。そういえばこの「スピーク・ロウ」も When you speak, love のカンマが効いてると思う。つまり love が「愛するひとよ」という呼掛けになっていながら speak love(恋を語る)を含む形になっている。それは「恋」の話を隠さないといけないから。
秘密の話は小さな声で。特にそれが「恋」の話のときは。そうでないと「時」が聞きつけて、二人から「恋」を奪おうとする。「時」は妬み深く、醜い姿をした魔物。人の幸せが憎い。だから二人の仲を「時」に気づかれてはダメ。「時」が全てを押し流してしまう前に、愛するひとよ、私に愛を囁いてください。
1943年クルト・ヴァイルの戯曲『ヴィーナスの接吻(One Touch of Venus)』でメアリー・マーチンが歌った。ヴィーナス像が命を持ち、恋をする話。いつ元の彫像に戻ってしまうか分からない切なさが歌に表れている。1948年には映画化され、エヴァ・ガードナーが歌っている。


All or Nothing at All
All or Nothing at AllBillie Holiday

Polygram 1995-10-24
売り上げランキング : 223746


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ビリー・ホリディバーニー・ケッセル。儚い恋を突き放したように歌うビリー。それを、バーニー・ケッセルのギターが温かに包んでいます。ヴァーヴ期最後の3枚のLPをまとめたもの。


Sonny's Crib
Sonny's CribSonny Clark

Blue Note Japan 1998-11-17
売り上げランキング : 28526

おすすめ平均 star
starクラークの最高作のひとつ

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ソニー・クラークジョン・コルトレーン。こういうときのコルトレーンには甘く優しい雰囲気があるんだよなあ。


Peckin' Time
Peckin' TimeHank Mobley

Blue Note Japan 1990-10-25
売り上げランキング : 100512

おすすめ平均 star
starモーガンとの突き合い

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ハンク・モブレーリー・モーガン。ラテン風味な味付けで展開するモーガンのトランペットが透き通っています。全然「小さな声」なんかじゃありません。ガンガン来ます。



September Songs
September SongsCharlie Haden Kurt Weill Gerard Schwartz

Sony 1997-08-19
売り上げランキング : 17697


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
アルバムはクルト・ヴァイルの曲を集めたオムニバス。「スピーク・ロウ」はチャーリー・ヘイデンがベース一本で孤独な演奏をしています。やがて、そこにクルト・ヴァイル自身の歌声が重なって。YouTubeの踊りは、よくわかりません・・・。