JOY SPRING

春まだ遠くとも。


JOY SPRING
1954(Jon Hendricks / Clifford Brown) Karin Plato


Isn't spring your favorite season?
Watching the flowers bloomin' up out of the ground


春って季節、良いと思わない?
あたり一面に花が咲き乱れたり
雪がどんどん溶け始めたりして
君が冬好きでも僕は春が嬉しい


日々穏やかになると心も晴れる
誰彼なく挨拶して笑顔になるよ
この気持ちよさは見事なものさ
君が冬好きでも僕は春が嬉しい


何か「生きてる」と思えるんだ
春の力が僕に命を与えてくれる
冬は長いし、雪や雨が辛いけど
それさえ春を繰り返す証なんだ


ただ信じれば良い、何もかもが
全て上手くいく日の来ることを
ホントにホント、信じてほしい
君が冬好きでも僕は春が嬉しい


どんなに辛いことも、必ず過ぎていく。地面を覆う厚い雪の下には、草花萌える「春」が待っている。「春」は訪れる。「冬」にかき曇らされ、その姿はよく見えないにしても。雲間から照らす日差しに、静かに流れる川のせせらぎに、「春」は訪れている。たとえ吹く風は、まだ肌を刺すように冷たくとも。
1954年クリフォード・ブラウンが発表したインスト曲。どうやら海辺で彼女とデートしていたとき、トランペットでこの曲を吹いてプロポーズしたらしい。うー、キザな奴。で、ちゃんと結婚できたそうだから、おめでとう。歌詞は、ジョン・ヘンドリックスがヴォーカリーズしたもの。「もし君が一人でいるのが好きでも、僕は君といるほうが嬉しいんだ」という強引なプロポーズの言葉と見るべし。1985年マンハッタン・トランスファーが歌ったとき「Sing Joy Spring」だったので、歌入りだとこの題名になる。



Duo
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エリス・レジーナの夫でブラジル音楽の第一人者セザ・カマーゴ・マリアーノ。サンバとジャズが融合した独特のフュージョンを聴かせてくれます。2003年のアルバムは、ギタリストホメロ・ルバンボとのデュオ。ニューヨークでボサノヴァの録音をすると、必ず名前が入ってる。アストラッド・ジルベルトの伴奏をしてた人。この二人で「春は良いなあ」と言っても、イメージはブラジルの「カーニヴァルな春」なんだろうなあ。静かに流れる演奏なのに、奥底に熱く渋いグルーヴが響いてる。
http://www.cesarcamargomariano.com/


Clifford Brown and Max Roach: Remastered
Clifford Brown and Max Roach: RemasteredClifford Brown

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1954年バードランドで生演奏をレコード録音する実験的セッションが行われました。『バードランドの夜』。トランペットは、クリフォード・ブラウン24歳。これで手応えを攫んだんでしょうね。クリフォードはジャズ・メッセンジャーズを脱退し、同年マックス・ローチとバンドを組みます。それがこのアルバム。ここに「ジョイ・スプリング」があるということは、プロポーズは脱退直後か。「見ててほしい。もうすぐ僕たちの春が来るから」と。

Ten Fingers One Voice
Ten Fingers One VoiceBilly Taylor

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バードランドの専属ピアニスト、ビリー・テイラーチャーリー・パーカーディジー・ガレスピーのサポートに入っていた人です。後にラジオやテレビのパーソナリティを務め、子ども向けの音楽教育に貢献し、アメリカ国立芸術評議会に就任しました。「この人を通してジャズを知った」という若手アーティストも多いようですね。お手本のようなスイング感。さすが先生、ソロ演奏でもとてもゴージャス。
http://www.billytaylorjazz.com/


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ボーカルとはいえ、ビル・エヴァンスを敬愛するティアニー・サットンは、自分の「声」を楽器として扱っている。2000年に出たセカンド・アルバム。チャーリー・パーカーの「ドナ・リー」など、インストで知られる曲を集め、歌詞を載せる。タイトル「歌われなかった英雄たち」は、そりゃあ、楽器を弾いてたんだから「歌」ではありません。「ジョイ・スプリング」も、どれだけクリフォードのトランペットに「声」が近づけるかの挑戦。早口言葉なのに、春風のようにやわらかに歌が流れていく。
http://www.tierneysutton.com/