I’VE GOT YOU UNDER MY SKIN

告白のとき。ずっとしまい込んできた想いが、ぶくぶくと膨れ上がって胸をバクバクさせる。これは耐えきれない。吐き出してしまいたい。でも怖い。恐ろしい。顔が真っ赤になって指先が震える。それもまた「恋」の素敵な瞬間。


I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN
1936(Cole Porter) The Roof Raisers


I've got you under my skin
I've got you deep in the heart of me


私、あなたを密かに愛してます
心の奥にあなたが住んでます
とても深く自分の一部となって
でもその想いは表に出せません


ずっと隠し通すつもりでした
うまく行かないと言い聞かせて
でも抑え続けるのはムリです
私、あなたを密かに愛してます


どんなことでも犠牲にします
あなたのそばにいられるなら
夜毎、警告の声が耳に
何度も何度も聞こえるけれど


「自分を知りなよ、おバカさん
 ダメに決まってるじゃん
 頭を使って、現実を見なさい」


でも冷静に考えようとしても
その度、あなたを思い出します
すると、もうダメ、思考停止
心の奥にはあなたがいますから


「under my skin」。「肌の下に」ということで「表に出せない想い」を表します。表情にさえ出ないよう、一生懸命抑え込んでいる。あなたのことが好きだけど、私には不釣り合い。絶対、あなたは私を好きになったりしない。分かってる。分かっていても、やっぱりあなたのことを考えてしまう。この、きゅるきゅる痛む胸のうち。良い歌詞だなぁ。
邦題『あなたはしっかり私のもの』。訳は反対ですね。「私はしっかりあなたのもの」な歌詞です。1936年の映画『踊るアメリカ艦隊(Born to Dance)』のために、コール・ポーターが作詞作曲。ヴァージニア・ブルースが歌った。その年のアカデミー賞にノミネートされています。



Duets
DuetsFrank Sinatra

DCC 1993-11-02
売り上げランキング : 122219

おすすめ平均 star
starまあなんと素晴らしい哉 シナトラの真骨頂
starシナトラとのデュエット
starDuets

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
しばらく人の記憶から消えていた「しっかり私のもの」をフランク・シナトラ。1946年に自分のラジオ番組で取り上げ、1956年にはネルソン・リドルのアレンジ(「思考停止」で音楽もストップする演出)で大ヒットを飛ばし、自分の持ち歌にしてしまいました。さらに1993年にはU2のボノさんとデュエットしています。


Dinah Jams
Dinah JamsDinah Washington

Polygram 1990-06-01
売り上げランキング : 125683

おすすめ平均 star
star暑い夏を吹き飛ばすダイナの歌声

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ダイナ・ワシントンが、クリフォード・ブラウンマックス・ローチをバックにスイングしています。これは豪快。


The Amazing Bud Powell, Vol. 2
The Amazing Bud Powell, Vol. 2Bud Powell

Blue Note 2001-07-03
売り上げランキング : 36836

おすすめ平均 star
starVo.2
starバド・パウエルの真実
star1も良いが2も良い、唸る(うなる)天賦の才

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
後期バド・パウエルの代表作。リハビリ後の安定した精神状態で、のんびりと弾いています。彼らしくないと言えば彼らしくないけど、明るいバドもまた素晴らしい。


Desmond Blue
Desmond BluePaul Desmond

RCA/Bluebird 2002-02-05
売り上げランキング : 101101

おすすめ平均 star
starデスモンドは理屈をつけずに流すべし,

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
「テイク・ファイヴ」の作曲者ポール・デズモンド。丸みを帯びたテナーの音で心を温めてくれます。控えめでありながら、心躍るようなスイングが持ち味。


Play The Music of Cole Porter
Play The Music of Cole PorterGeorge Shearing with Barry Tuckwell

Concord Jazz 1990-10-25
売り上げランキング : 60666

おすすめ平均 star
starムード満点のホルンによるジャズ・ミュージック

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
フレンチ・ホルンのバリー・タックウェル。オーストラリア生まれでイギリス在住(去年メルボルンに帰国したようです)。ロンドン・シンフォニーで第一ホルン奏者を務めたクラシック畑の人ですが、ジョージ・シアリングが惚れ込んで一緒にジャズ・アルバムを吹き込みました。面白いくらいに合ってますね、「しっかり私のもの」に。夢見るような、甘いホルンの音色。