IT COULD HAPPEN TO YOU

春眠暁を覚えず。春先は気だるくて、いつまでもまどろんでいたい気分。


IT COULD HAPPEN TO YOU
1944(Johnny Burke / Jimmy Van Heusen) Carolyn Graye


Hide your heart from sight
Lock your dreams at night
It could happen to you


自分の気持ちを隠してしまい
夜見た夢も人に話さなくなる
それがあなたにも起こるかも


空を見上げて星を数えてると
何かにつまずいたりするし
誰かが溜息をこぼしただけで
足元がよろめき転んでしまう


春なのに目が冴えて眠れない
教会の鐘に合わせて走り出す
それがあなたにも起こるかも


あなたの腕に抱かれたら、と
そんな想像をしただけなのに
私はそうなってしまったのよ


原文は命令形なんですが、命令形で訳すと意味がわからない。それで「You'd」が省略されていると見て、訳してみました。春になって、今までなかった「変な症状」がいっぱい出てきている。原因不明だから、誰に起こるか分からない病気。おかしいわね、私はただあなたのことを考えただけだったのに。って、分かって言ってるでしょ?
1944年映画『そして天使は歌う』の挿入歌。エンジェルズというコーラスグループのメンバーを巡る恋の物語。ドロシー・ラムーアとフレッド・マクマレイが歌っている。主題歌ではないのに、映画の公開後ジョー・スタフォードがこの曲に注目しレコード化。これがヒットし、広まっていった。2003年ウディ・アレン監督映画『僕のニューヨークライフ』ではダイアナ・クラールがライブ・ミュージシャンとして出演し、この曲を弾いている。

ヨーロピアン・ジャズ・トリオの演奏。エレガントってこういうのだな。


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これで決まりとも言えるマイルスの「リラクシン」。「まあ、のんびり行こう」といった感じでしょうか。マイルスのトランペットは変にテクニックに走らず、メロディラインをとんとん走り抜けていく。それに続いてコルトレーン、それからレッド・ガーランド。最後にマイルスがムリなく締めて出来上がり。力の抜けた感じが、何度聞いても飽きさせません。


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ボーカルだと、これは外せない。ジューン・クリスティが1952年にソロ活動を開始し、モノラルでレコード化したアルバム。1955年には12インチLPになり、さらに1960年にはステレオで再度レコード化したほど好評だった。「クール」と呼ばれた彼女の声は、ハスキーだけど明るく元気で、物々しくならないところが持ち味だと思う。


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バド・パウエルブルーノートでの全盛期。3つのセッションをまとめた完全版なので、試聴は旧版のVol.2で。ピアノ・ベース・ドラムというピアノ・トリオの構成を決定づけた1951年の演奏で「It could happen to you」が取り上げられています。マックス・ローチのドラムに乗せられて、バドも機嫌良さそうにメロディの合間に別の演奏を差し込む離れ業を見せ、二人分以上の活躍をしています。


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The Sound of SonnySonny Rollins

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ピアノがソニー・クラークで、ソニーソニーソニー・ロリンズ。ノリの良いラテン風の曲が続くなかで、突如「It could happen to you」で伴奏が消えます。無伴奏のまま朗々と3分40秒ロリンズがサックスを吹き続ける。誰にも入り込む隙を与えない。とてもロリンズらしい一曲になってます。翌年ロリンズは2回目の引退生活に入るのですが、よく見るとこのアルバムは「グッバイ」ばかり並んでいる。休憩したい気分だったのでしょうか。


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キースの東京公演。DVDにもなって出ています(こちら)。オープニングの一曲目。静かにピアノのソロから入り、観客をキースの世界に引き込んでいきます。興に乗ってくると鼻歌が入り出すのは、まあ、キースらしさということで。でもこの後、慢性疲労症候群で長い療養生活に入ります。すると「It could happen to you」は、そうした「何か」を予兆される曲なのだろうか。