MY OLD FLAME

雨降って寒い。まあ、まだ2月だもんなあ。


MY OLD FLAME
1934(Sam Coslow / Arthur Johnston) Renata Sajko


My old flame
I can't even think of his name


私の初恋、名前も思い出せないけれど
おかしなものね、今ふと思い出したわ


新しい恋人たちはみなやさしいけれど
あの人ほど気品のある人は他にいない


魅力的な人ならたくさん出会ってきた
見つめられるだけで恋の虜になるとか
天にも昇るような気分になれる人とか


でもどれもイミテーションに過ぎない
どれもあの初恋の身代わりに過ぎない


名前さえ忘れたけれど、知りたくなる
あの人は今頃どうしているのかしら?


恋人のことを「炎」に喩えた歌。「恋の炎」という感じかな。古い歌を聴いていると、突然昔のことを思い出してしまう。顔も名前も忘れたけれど、あのときの自分の気持ちだけは覚えている。その気持ちを灯し続けようと、新しい恋を渡り歩いてきたのね。懐かしいわ。- でもそんなに好きだったんなら、せめて名前だけでも覚えておいてくださいよ。
1934年レオ・マッケリー監督映画『罪ぢゃないわよ(Belle of the Nineties)』の挿入歌。女優メイ・ウェストが主演も脚本も兼ねている。ジャズ・バンドの歌姫ルビーがニューオリンズに流れ着いたところ、偶然そこに元恋人のボクサーもタイトル戦のためにやって来て起こるドタバタ・コメディ。ルビーのバックバンドが実はデューク・エリントン楽団で、曲は全部エリントン楽団が手掛けている。「マイ・オールド・フレイム」は戦時中エリントンが慰問演奏で演奏し、スタンダードとなった。

フィル・ウッズの「マイ・オールド・フレイム」。1990年チャーリー・パーカーに捧げたコンサート。


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star若き日のマイルス、ロリンズの輝かしい演奏が一杯詰まった名盤
starソニー・ロリンズという大器を発見した時期
starハード・バップの誕生

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「マイ・オールド・フレイム」はビバップの基本となっている曲。1951年に当時の若手が揃ってこのセッションをしています。トランペットはマイルス、アルト・サックスはジャッキー・マクリーン、テナーがソニー・ロリンズ。みんな20代前後で貧乏。よれよれの服を着ていて、まだ誰にも注目されていない。でも、その心に燃える炎は熱くエネルギッシュな演奏を繰り広げています。


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こちらはトランペットがケニー・ドーハム。やっぱりソニー・ロリンズが参加で、ドラムにマックス・ローチ。みんなでリバーサイドに移籍した1957年。ジャズにハープを取り入れた珍しい「マイ・オールド・フレイム」。昔の古巣もよかったな、ということ?


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starCover Design is so inviting (so I bought)
starこれからジャズでも聴こうかなと思っている人に、、、
starおのずと、背筋が伸びて歩くスピードも上がる軽快さ

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これはジェリー・マリガンの野太いサックスを聴くアルバム。1957年LH&Rのアニー・ロスがソロ・デビューしたとき、バックにジェリー・マリガンチェット・ベイカーアート・ファーマーが参加してにぎやかに盛り上げている。歌のほうは気怠くしっとりと聴かせます。


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star天才にして超技巧派ギタリスト、若き日の記録

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なぜか「マイ・オールド・フレイム」は「遠くを見つめる」ジャケットに入っている。夭逝のギタリスト、レニー・ブロウ。カナダ出身。ビル・エヴァンスをギターに置き換えたと言われています。これは1961年、20歳のときの作品。決して派手ではないけれど、美しいアルペジオを奏でながらしんみりと。


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star魔法にかけられたように輝くアルト
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ということで、なぜか「マイ・オールド・フレイム」は若いうちに弾いておく曲になっているらしい。2006年、こちらは16歳。イタリアのフランチェスコ・カフィーソ。アルト・サックスを吹くなら、バードが取り上げた「マイ・オールド・フレイム」。これでその実力を推し量ることができる(?)。低音部を多用して生み出される重厚なサウンド。温まります。