HONEYSUCKLE ROSE

暑さの中、甘いものの飲み過ぎにご注意。


HONEYSUCKLE ROSE
1929(Andy Razaf / Fats Waller) Johanne Desforges


Every honeybee files with jealousy
When they see you out with me


蜜蜂たちが嫉妬しながら飛んでるよ
僕が君と歩いてるのを見つけたから
でも、彼らを責めたりはできないな
だって、君は僕のスイカズラだから


どんな花でも、君が横を通るだけで
首を落として溜め息をついてしまう
その理由は言わなくても分かってる
だって、君は彼らよりも甘いからさ


わざわざ砂糖を買いに行かなくても
君がカップに触わるだけで甘くなる
君は僕にとっては砂糖のようなもの
紅茶を掻き回してくれるだけで充分


君の素敵なくちびるに口づけすると
100%純正の蜂蜜のような甘い味
君はまるでお菓子で出来てるようだ
神様に誓うよ、君は僕のスイカズラ


スイカズラ。季語が「夏」だったので夏の花だと思っていたら、5月に咲く花でした。咲き始めは白く、後になると黄色に変色するので「金銀花」の名がある。葉も四季によって形を変え、冬でも青々しているので「忍冬」とも呼ばれる。煎じて飲むと解熱剤になる。砂糖のなかった古代日本では、この花の蜜を甘味料として吸っていたので「吸い葛」と呼ばれた。アメリカでも砂糖代わりなのは、この歌の通り。
1928年レビュー『炭荷(Load of Coal)』のダンスナンバー。作詞のアンディ・ラザフが歌詞を書き上げ電話でファッツ・ウォーラーに伝えると、その場でファッツが曲を付けてしまったという逸話がある。1940年映画『ティン・パン・アレイ』ではベッティ・グレイブルが歌っている。スランプに陥った作曲家がヤケを起こして牢屋入り。でもそこで聴いた曲にヒントを得て、またヒット曲を生み出していく物語。つまりファッツの曲を盗作したってこと?


ジス・イズ・アニタ
ジス・イズ・アニタバディ・ブレグマン・オーケストラ

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starアニタの最高傑作にしてジャズ・ボーカルの粋を集めた決定盤
star天性のジャズ歌手アニタの代表作
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verveに移籍してソロ活動を始めた1950年代。アニタ・オデイの真骨頂が聴けます。「ハニーサックル・ローズ」は段々と楽器が増えていくアレンジ。ただ甘いだけではない、多彩な顔を持つスイカズラ。1963年に東京で行ったライブがYouTubeにあるので、試聴はそちらをどうぞ(こちら)。


Basie & Zoot
Basie & ZootCount Basie

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star強力タッグ
starスウィングしなきゃ意味ないね

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ジョン・ハードのベースに乗せられて、カウント・ベイシーのピアノが弾けてます。もともとノリで勝負する歌ですから。そしてクール派ズート・シムズのサックスがブロウ。ウディ・ハーマン楽団フォー・ブラザーズの頃からスイングはお手のもの。このアルバムには、ベイシーがオルガンも披露する珍しい曲も入っています。


Flying Home: The Best of Verve Years
Flying Home: The Best of Verve YearsIllinois Jacquet

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star男のテナー・サックス

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イリノイ・ジャケー。スー族の末裔で、「イリノイ」とはネイティブ・アメリカン語で「優れ者」という意味。とにかく熱く泥臭い。ダミ声のようなテナー・サックス、ホンカーの代表選手。「ハニーサックル・ローズ」はケニー・バレルのギターがスイングしていて、そこも良いです。


Summertime
SummertimeRay Brown & Ulf Wakenius

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starヴァケニウスのギターが冴え渡る

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ニールス・ペデルセン・トリオのギタリスト、ウルフ・ワケーニウススウェーデン生まれでヨーロッパを中心に活動。でも、このアルバムあたりからレイ・ブラウンオスカー・ピーターソンに誘われ、世界に発信しています。「ハニーサックル・ローズ」はジャンゴが取り上げたこともある、ギタリストの登竜門。この忙しない曲のテンポを落とし、ゆっくりと酸いも甘いも味わうように弾いている。ただ、有名人なのにMyspace.comにホームページを構えるのはどうなのかなあ。曲を聴かせてもらえるのは嬉しいですけど。


My Foolish Heart: Live at Montreux
My Foolish Heart: Live at MontreuxKeith Jarrett

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star疾走、朗朗、落涙
starまたまたECMらしい戦略
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ファッツ・ウォーラーの曲は、ピアニストにとってファッツ相手の力試しなのかもしれません。キース・ジャレット。2001年のライブで、20世紀を代表するスタンダードを13曲に絞り込んでいます。その中にファッツの曲が2つも入っている。よほど意識しているらしい。同じ早弾きでもキースは一味違う。