FALLING IN LOVE WITH LOVE

台風が去ったかと思えば局地的な大雨。油断しちゃあダメだなあ。


FALLING IN LOVE WITH LOVE
1938(Lorenz Hart / Richard Rodgers) Bridget Maynes


Falling in love with love
Is falling for make believe


恋に恋するのは見掛けに騙されること
恋に恋するのは道化師が演じる猿芝居


人を好きになるなんて青臭い幻覚妄想
誰かを信じるなんて中学生までで卒業


なのにあの晩、恋に恋してしまったの
月が明るくて目がバカになっていたわ


恋に恋して、永遠の愛を夢見たけれど
結局、恋は私と相性が悪かったようね


起承転結がはっきりある4コマ漫画みたいな曲。「falling in love」(恋に落ちる)から「fall out with」(仲違いする)まで、fallという動詞の慣用句を散りばめて、語呂遊びを楽しんでいる。悲しい失恋の唄なんだけど、それを笑ってみせてるところがジャズに向いてるんだろうなあ。
邦題『恋に恋して』。1938年ミュージカル『シラクサの男たち』のナンバー。シェイクスピア『間違いの喜劇』をミュージカル化したもの。『間違いの喜劇』自体も古代ローマの演劇『メナイクムス兄弟』を基にしている。生き別れた双子の兄を捜してシラクサからやってきた若者アンティフォラスが、兄の妻に夫と間違われ、兄のほうは弟と間違われ逮捕され、息子を追ってきた父親は死刑を宣告されてしまう話。「不幸は幸せの始まり」というわけで、最後はみんな再会して大団円。劇中、兄の妻エイドリアーナが、自分に冷たくなった「夫」を嘆いて歌うのがこの「恋に恋して」。1940年に映画化されている。

シュープリームズが歌う「恋に恋して」。一緒にいるのはボビー・ダーリン


At the Stratford Shakespearean Festival
At the Stratford Shakespearean FestivalOscar Peterson Trio

Verve 1993-04-20
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star黄金時代の記録

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カナダのストラットフォードで開かれたシェイクスピア祭。シェイクスピアはもちろんイギリスのストラットフォード生まれですが、このカナダのも三大シェイクスピア劇場として知られています。1956年そこに招かれたオスカー・ピーターソンシェイクスピアと言えば「恋に恋して」と、オープニングに持ってきています。しかも斬新なドラムレス構成。ドラムがいません。ギターのハーブ・エリスが頑張ってます。ジャズに親しみのない人でも楽しめる演奏。親しみのある人向けバージョンは、目眩いのするピアノ・ソロのモントルー・ジャズ・フェス版で。


Falling in Love with Jazz
Falling in Love with JazzSonny Rollins

Universal Japan 1990-02-22
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starスタンダード中心のロマンティックアルバム
star哀愁のロリンズにトロトロ

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これぞソニー・ロリンズ。いいなあ、むちゃくちゃやなー。思いつく限り吹き鳴らしています。1989年。フュージョンからアンプラグドへの転換期で、マーク・ソスキンのエレピとトミー・フラナガンのピアノが混在しているアルバム。「恋に恋して」はドラムのディジョネットとの掛け合いが良い。ロリンズにとってこの曲は、1957年ケニー・ドーハムマックス・ローチと一緒にリヴァーサイドへ移籍した思い出がある曲だったりする。


helen merrill
helen merrillHelen Merrill with Clifford Brown

Universal Jazz 1990-10-25
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staryou'd be so nice to come home to
star五つ星どころか六つ星をあげたい!
starこれを5ツ星としないで、どうする

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マックス・ローチと言えばクリフォード・ブラウン。1954年のブラウニーを堪能できるのがこのアルバム。ヘレン・メリルの悲しく途切れていくヴォーカルに引き継いで、ブラウニーのトランペットが温かく歌い上げる。絶妙の連係プレイです。ブラウニーの「恋に恋して」はストックホルムでのライブ盤もあるのですが、ヘレン・メリルとのほうが良い感じ。


Standards Live
Standards LiveKeith Jarrett Trio

Ecm Records 2000-01-25
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star『これをやらねば』と始めた所作
star各曲が全体で構成を成すかのように次第に最高潮に盛り上がる

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ジャック・ディジョネットと言えばキース・ジャレット。1985年の絶好調なアルバム。ディジョネットのドラムが緊張感を湛えていて、キースのピアノがそれに応えています。キースのスタンダードは原曲の美しさをうまく引き出してますね。


No Place to Hide a Duet
No Place to Hide a DuetRon Eschete

Sms Jazz 2004-09-14
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starジャズクラリネットの洗礼

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活動を停止していたモルト・ワイスが、ギタリストのロン・エチェットに誘われクラリネットを再開したアルバム。2002年。二人だけの演奏で、ギターとクラリネット、どちらの良さもストレートに伝わってきます。活動再開と言えばソニー・ロリンズ(笑)。なにしろ何回も「引退」した人ですからね。この二人も活動再開を祝して、ロリンズの名曲「Sonnymoon for Two」も演奏しています。とてもジャジーでかっこいい。