I’LL BE SEEING YOU

やっと「夏」が終わったかな。


I'LL BE SEEING YOU
1938(Sammy Fain / Irving Kahal) Bobbi Carrey


I'll be seeing you
In all the old familiar places


いつでも君と会うことができるんだ
懐かしい場所を思い浮かべるたびに
胸のうちに抱かれた思い出とともに


あの小さなカフェ、道向こうの公園
子どもらが乗るメリー・ゴーランド
栗の並木道、二人で願いをかけた泉


いつでも君と会うことができるんだ
素晴らしい夏の日々に、あの輝きに
そんな風に君のこと想い続けていて


朝の日差しの中にも君の姿が浮かぶ
たとえ新月の夜が来るとしてもまた
僕は月を見つけ、君と出会うのかな


まだ「夏」の人が一人。はいはい、スタバでお茶して、遊園地行って、トレビの泉もどきに五円玉投げたんですね。「この夏が終わらぬように」と。でも今年の夏は暑かったじゃないですか。大半の人は「早く終わって」と思ってたんですよ。それなのに、あなた一人の願いのせいで、こんな秋になってもまだ暑い。ほんと困りますから、すぐ「夏」から出てきてください。
邦題『君をみつめて』。1938年ミュージカル『Right This Way』の挿入歌。ミュージカルはブロードウェイ46番街シアターで上演されたものの、10日間で打ち切られている。パリとボストンを結ぶラブコメだったらしい。でも第二次大戦になり「君をみつめて」の人気が急上昇。1944年にはジンジャー・ロジャーズ主演で映画『I'll Be Seeing You』が制作された(邦題『恋の十日間』)。遠い戦場にいる恋人を想う絶望的な願い。2004年映画『きみに読む物語』にもビリー・ホリディの唄が使われている。



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1960年代フランスを代表するフォークシンガーと言えば、フランソワーズ・アルディでした。10代の頃から政治について発言し、自立する女性の、強さだけではない、傷つきやすい女心を歌い続けてきた人です。60歳を超え、さらに女性の歳月を唄にしながら、このアルバムでは、なんでイギー・ポップ?? なんで「君をみつめて」?? パンクな人たちがカラオケするときのデュエット曲なの??
http://www.francoise-hardy.com/


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ニューオリンズのマッド・ピアニスト、ジェームズ・ブッカー。人生の大半が麻薬中毒のため刑務所か精神病院だけど、外に出てるときはBBキングやファッツ・ドミノらに声を掛けられ、彼らと気前よくセッションしていた。そんな彼の1976年ソロ・アルバム。出だしショパンの「子犬のワルツ」からもうジャズしてます。ピアノ・ソロなのに手数が多くてゴージャズ。陽気な笑い声も入り、最後の締めは「君をみつめて」。次にシャバに出てくるのはいつかな? それまでみなさん、ごきげんよう


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ソニー・スティットが亡くなる6週間前に吹き込んだ1982年アルバム。「癌の告知をされないまま亡くなった」とされるが、自分でも悟っておられたのでしょう。選曲が「Out of Nowhere」も「As Time Goes By」にしても別れを予感させる。とくに「君をみつめて」。音色が澄んでいます。ジュニア・マンスのピアノが走りすぎても、穏やかに受けとめつつ、メロディをたどっていく。他のみんなは何も知らないから楽しく盛り上げようとし、ソニー・スティットも笑うようにそれに応え、明るくソロを奏でる。でもちょっと、その場から醒めている感じもして、何かが悲しく響いているんです(試聴はこちら)。


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前作『パガニーニ』でヴァイオリンの魅力を見せつけたレジーナ・カーター。2006年のアルバムは、亡くなったお母さんに捧げる作品です。それで、戦時中に流行った曲がラインナップに並んでいる。ディー・ディー・ブリッジウォータも参加し「素敵なあなた」を歌ってくれる。どの曲も陽気に、そして切なく。そしてアルバムの終わりに「君をみつめて」。ヴァイオリンはいつまでも耳に余韻を残し、大切な人の面影を胸に留めながら、いろいろな情景が心に浮かび、重なりあっていく。
http://www.reginacarter.com/