【Textwell】「一枚の紙」には裏がある Beside

何事にも表と裏がある。「表」は「おも」であり「顔」や「面持ち」を表す。それに対して「裏」は「こころ」。古語の「うら寂しい」や「うら悲しい」のように「心持ち」を表すのが原義。相手の真意を知ろうとする行為が「うらない」で、心が病理化すると「うら病む=羨む」と呼ばれる。「おも」は動詞化すると「思ふ」になり、「うら」は「恨む」に変化する。情が顔に出ようとするのか、奥に沈殿するのか。人を引き裂き、掻き混ぜ、裏は表となり、表が裏となる。その表裏の回互を捉えようとすれば「一枚の紙」では心許ない。

  • TextwellアクションBeside:エディタにおける「保存」とは何か

  • Beside

    Textwell 1.8.4
    分類: 仕事効率化,ユーティリティ
    価格: \360 (Sociomedia)

    Textwellに裏紙を作るアクション。表でブログの下書きをし、裏で忘年会のスピーチを考える。人の心はいつもそぞろで、注意が拡散するように出来ている。ならば分散すればいい。このアクションは、二面を並行執筆する作業台になります。しかも二面にとどまらない方法も組み込みました。バーチャルに紙の枚数が増える様をご堪能ください。

    Import Textwell ActionBeside


    両面シート

    「一枚の紙」に裏表がある。[A ⇄ B]を選ぶと、A面はB面に、B面はA面に入れ替わります(リバース機能)。長い文章をABに分割したい場合は[A / B]を選択(スプリット機能)。ABを一本にまとめたい場合は[A + B]をお使いください(マージ機能)。この3つが基本です。

    二枚になると、出来ることが爆発的に増えます。別の要件のためにTextwellをクリアするのは、あとで再開するとわかっているときもどかしい。それで裏に回す。あるいは2つのスクリプトを比較しながら修正する。そんなケースで威力を発揮します。

    個人的に常用するアクションの1つ。


    バインダー

    [Binder]を補強しました。ファイルを保存する保管庫です。ボードに付箋が並ぶ。一行目をタイトルと見なし、リストに追加していきます。同じタイトルだと順番を変えずに上書き。付箋をタップするとTextwellに読み込みます。削除は左端の赤タグをタップしてください。

    このバインダーにドラッグ機能を付け加えました。付箋を長押しして移動。並び順を変更できます。アクションを閉じるとき[Compile]を使うと、表示中の付箋を連結。並び替えて一本にまとめる。これを利用すれば、Scrivenerのような分割執筆が可能になるわけです。


    追加機能

    検索は正規表現に対応しています。インクリメンタルサーチでバインダーを絞り込める。しかもCompileが使えるので、タグを付けておけば、絞り込んだ項目をそのまま束ねることができます。特定のキーワードを含むテクストだけ集める。原稿の下書きもバッチリ。

    バインダーは二本指でスワイプすると全項目を削除します。そしてバインダーが空っぽの状態だと、空行で分割するオプションが発生します。つまり、最初の保存だけ、テクストを分けて納めることができます。長い文章を分割する場合はこの方法をお使いください。


    まとめ

    動作の仕掛け上、Yahooの画像表示ページを一度呼び出しています。表示は軽いものの、オフラインでは作動しません。これ、直接バインダーを呼び出す方法があると面白いんだけど、localStorageの制限で回りくどくなっています。残念。

    Emacsのscratchが欲しくて作ったアクションですが、ここまで来ると別物ですね。CorkBoardのノウハウを転用しました。バインダーはファイルリストとは異なります。通常のエディタだと、書いた文章を作成順に保存する。それは履歴であり、ファイル間の関連性は扱えないし、下に行くほど取り出しにくい。テクストが死蔵するリスクを抱えています。

    ScrivenerやUlyssesはそこを巧みにクリアしている。長い文章を扱う装置に見せかけて、実は皮を剥ぎ肉を取り分ける分節化をしているわけです。テクストという素材を加工し「部品」に作り変える。調理に向けた下ごしらえがうまい。これはなめたい、いや真似たい。

  • Textwellで分割執筆できるから長い論文でも怖くない Binder