ALL OF YOU

このところニュースは、北朝鮮かイジメ問題。共通するキーワードは「管理強化」かな？　なんかマスコミに危機感を煽られてるだけの気がするんですが（「なくそう」とするから「隠そう」とする馬鹿な大人が出てくるだけのことで、「それはある」とすれば「被害者をどう保護するか」という話になるだろうに）。

ALL OF YOU
1954 (Cole Porter) Inma Lazaro

I Iove the looks of you
The lure of you
The sweet of you
The pure of you

君のルックスが好きだ
君の魅力も優しさも
純粋さも目も鼻も口も
君の東も西も北も南も

君を完全に管理したい
心や魂まで操作したい
数パーセントだけでも
僕を愛してくれないか？
なぜなら僕は
君の全てが好きだから

「君の全てが好き」って歌だとはわかってたのですが、訳してみて「complete control」とか「a small percent」とか、怖い言い回しを使ってます。「愛しているから支配したい。私の管理下に置きたい」って歌なんですね。そんなこと言ってたら、宗方コーチに「相手の成長を妨げる愛し方をするな！」と叱られちゃうよ。
コール・ポーター作のミュージカル『シルク・ストッキング』の曲。行方不明のソビエト作曲家を捜索するため、美しき敏腕スパイがパリに送り込まれる。彼女は西側の退廃を批判するが、アメリカの映画プロデューサーと出会い、云々・・・という恋物語。なんだ。『ニノチカ』の翻案なのか。管理的な言い回しや「東も西も北も南も」に、当時の東西冷戦への揶揄が含まれています。上演は1955年。ポーター最後のブロードウェイ上演作となりました。

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初めから最後まで「ALL OF YOU」が掛かってます。シド・チャリシーに「ソ連では40匹のカメを観測した結果、恋は電磁波による化学反応だと証明されたわ」と求愛を拒まれたフレッド・アステアが「僕の見解とは違うね」と言って歌いだすのがこの曲。歌いながらイスとダンスを始めるのだけど、ああ、カッコいいなー。57歳のオジサンに、なんでこんな柔らかくて切れのある踊りができるんだろう。踊りの神様が乗り移ってるみたいです。

Miles in Tokyo
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マイルス、東京でのライブ。曲目は『マイ・ファニー・バレンタイン』あたりのアレンジを持って来た感じ。ロン・カーターのベースを前面に出して売り込んでます。ライブならではの即興性と躍動感。

Sunday At The Village Vanguard
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エヴァンス「リバーサイド四部作」の一つ。こちらも、メロディーよりはインタープレイで勝負。ベースのスコット・ラファロが天才ぶりを発揮している。

Concorde
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『ジャンゴ』に続くMJQの代表作。ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンとジョン・ルイスのピアノの掛け合いは、ハイソな優雅さを漂わせている。

Standards in Norway
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キース・ジャレットのピアノ。オープニングに「ALL OF YOU」を持って来ています。ノルウェーのオスロでのライブ。慢性疲労症候群にかかる前の、調子が良いうなり声が聴けます。

Concord Duo Series, Vol. 8
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精神分析医のデニー・ザイトリン。本業が忙しいのかアルバムの少ない人だが、出せば必ず華麗なピアノを聴かせてくれる。

マクドナルド化する社会
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新型管理社会についての名著。一昔前は「監視」がキーワードだった。初めは市民同士の相互監視。「村八分」のことですね。それが時代を経ると、軍隊や学校を通して内面化されていく（心理学化ともいう）。「自己規律」が管理のポイントになった。ところが現代はさらに劣悪。内面に踏み込まなくても、他人を効率よくコントロールできる。それが「マクドナルド化」です。長時間座ることのできないイス。持ち運びやゴミ捨てなど客に「仕事」をさせる。CMで欲望を刷り込む。不都合な情報は流さない。すると、管理されながら管理に気づかなくなる。しかも、それを「誰」が望んでいるか、明確な「支配者」がいない。誰もが「そうせざるをえない」と思い、それで動いている。管理構造がオートマティックに働いている社会。
とはいえ、身近で怖いのは「トランスファット」かな。