TAKING A CHANCE ON LOVE

「三月ウサギ」は、as mad as a March hare で「三月のウサギのように落ち着きがない」という慣用句から来てます。春先の恋するウサギたちは、なかなか凶暴な状態になるらしい。


TAKING A CHANCE ON LOVE
1940(Ted Fetter & John LaTouche / Vernon Duke) Gracie Speranza


Here I go again
I hear those trumpets blow again
All aglow again
Taking a chance on love


さあ、もう一度やってみよう
耳に進軍ラッパが鳴り響き
全てが輝きに満ち始めている
さあ、この恋に賭けてみよう


また私の心が動き始めている
この流れに身を任せていこう
目には星が輝き始めている
さあ、この恋に賭けてみよう


今までは何も賭けようとしなかった
トランプさえインチキだと思っていた
でもその私が人生の賭けに出ている
ハートのエース以上に強いものは無い


物事は良い方向に動き始めた
まるで虹が混ざってるみたい
ハッピーエンドへ向かって
さあ、この恋に賭けてみよう


出歩くときには、馬蹄を身につけて
寝転ぶときには、クローバー畑の上で
眠る前には、「ウサギの足」にキス
本当は君にキスのほうが良いんだけど


よし、段々調子に乗ってきた
落ちるまま身を任せていこう
私の全身全霊を注ぎ込んで
さあ、この恋に賭けてみよう


気合いが入ってますね。この歌の面白いところは、アメリカの「縁起担ぎ」が並んでいるところ。馬の足の裏に付ける馬蹄を持ち歩いたり、四葉のクローバーがあるかも知れないところで寝転がったり、「ウサギの足」にキスしたり。rabbit's footヴードゥーの魔除けで、本当のウサギの足を使うようです。しかも、金曜日の夜、墓場で捕まえたウサギの左後ろ足には、特別な妖力が備わっているらしい。もちろん、普通には作り物のキー・ホルダーが売られていて、ギャンブラーの必需品になってます。
邦題『恋のチャンス』。1940年ミュージカル『空のキャビン(Cabin in the Sky)』の挿入歌。実は開幕前になって、曲の数が足りないことに気づき、急遽用意された。もともとは、ヴァーノン・デュークがテッド・フェッターと作ったけれど使ってなかった曲。それを使おうとしたものの、興行主が「ラトゥーシェの作品しか使わない」と言い出し、ラトゥーシェが詩を付け足すことで帳尻を合わせたので少し長くなっている。1943年に映画化され、ベニー・グッドマンの演奏でエセル・ウォーターズが歌いヒットした。

若い頃のベニー・グリーン。ベースにクリスチャン・マクブライドが入ってるのがミソです。


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