I THOUGHT ABOUT YOU - W&R : Jazzと読書の日々

９月はやっぱりお月さま。

I THOUGHT ABOUT YOU
1939(Johnny Mercer / Jimmy Van Heusen) Betty Joplin

I took a trip on a train
And I thought about you
I passed a shadowy lane
And I thought about you

僕は汽車に乗って旅に出た
なのに君のこと考えている
線路が日陰を通り抜けると
また君のことを想っていた

星空の下に二台か三台の車
蛇行しながら流れていく川
小さな町を照らしている月
どの光も昔を思い出させる

汽車が駅にしばらく止まる
すると君のこと考えている
日よけシェードを下ろすと
なぜかブルーになってくる

シェードの隙間から覗くと
反対方向への線路が見えた
そのときどうしたと思う？
また君のことを考えたんだ

車のボンネットに映る星を見て「そうそう、君とドライブしたのもこんな夜だった」。流れる川の水面がきらめくのを見て「そうそう、君と川辺に座り話し込んだこともあったっけ」。こじんまりした田舎の集落を照らす月光に「そうそう、君と二人、こんなお月さまを見上げたこともあったよなあ」。なんでしょうね？　「男を磨く旅に出る」とか威勢のいいこと言っておいて、実は心は君のもと。
邦題『君のことばかり』。1939年ベニー・グッドマン楽団のヒット曲（ここんとこ、スイングが続いてます）。ベニー・グッドマンがビクターからコロンビアに移籍したときに最初に出した曲で、ミルドレッド・ベイリーが歌った。穿って考えると「昔のビクターのほうが良かったなあ」と言ってるような気がするけど、こんなの出して良かったんでしょうか。

ヨーロッパでコール・ポーターのミュージカルを紹介してるキャロル・オルストン。
　公式サイト： http://www.carolealston.com/

My Funny Valentine
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まあ、マイルスで決まり、みたいな曲ですが、実はどのアルバムをベストにするかで迷います。「君のことばかり」は『いつか王子様が』でまず取り上げてるんですよね。コルトレーン最後の参加。その後ハンク・モブレーを前面に出した『アット・ブラックホーク』。そしてハービー・ハンコックとジョージ・コールマンが参加したこのニューヨーク・ライブとパリ・ライブ。メンバーが変っても、この曲ばかり。

What a Diff'rence a Day Makes!
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1959年ダイナ・ワシントンの出世アルバム。「縁は異なもの」のアレンジの在り方を決めてしまったようなアルバムですが、「君のことばかり」も入ってます。ストリングスのきらめくバックに伸びのあるワシントンの歌声。一途に想い続ける恋の唄を集めて綴っています。

Bye Bye Blackbird
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1991年、マイルスが亡くなったときにキースが出したトリビュート・アルバム。もちろん「君のことばかり」はマイルスが取り上げた曲だから選ばれているわけですが、同時に「あなたのことを考えてしまいます」という追悼の言葉。だからこの曲は、しんみりと哀しみを込めた演奏になっています。

The Art of Three
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超人三人組。ピアノ超人ケニー・バロンと、ベース超人ロン・カーター。そしてドラム超人のビリー・コブハム。なんだか日本だったら人間国宝もののピアノ・トリオです。マイルス没後10年の2001年。取り上げる曲はマイルスに因むものばかり。まあ、カーターさんとコブハムさんはマイルス・グループですから致し方ない。スタンダードの美しさを紹介するアルバムになっていて、このメンバーで日本でもライブをやってます（試聴はこちら）。

And So Is Love
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チェロキー族のジャズ・シンガー、リタ・クーリッジ。60歳のときのアルバムです。カーペンターズのヒット曲「スーパースター」は、このリタ・クーリッジのデビュー曲。すっごい昔から活動してるけど、この人は過去を振り返らない。どんどん新しい曲に挑戦していきます。深みのある歌声。これで「チェロキー」も歌ってくださったら良いのになあ。