FOR SENTIMENTAL REASONS

早いなあ。もうすぐバレンタイン・デイ。


FOR SENTIMENTAL REASONS
1945(Deek Watson / William Pat Best) Middleton Trio


I love you for sentimental reasons
I hope you do believe me


僕が君を好きなのは、心動かされてのこと
僕を信じてほしい。この心を君に捧げるよ


君のこと大切に想ってる。僕には君だけさ
僕に心預けて「離れない」と言ってほしい


朝起きると君を思い、夜毎に君の夢を見る
君の姿がそこにあれば何も淋しくならない


君を好きな理由は一言で言い表せないけど
僕を信じてほしい。この心を君に捧げるよ


つまり、義理ではない。金目当てでもない。センチメンタルな理由だ、と。でも「reasons」と複数になってるとこがミソで、一つじゃないんですよね。それで「一言で言い表せない」と訳してみました。「千々に心乱れて」のニュアンスでしょうか。そりゃあ、好きになる理由なんて一つじゃないですよ。一つだったら、それが無くなると好きでなくなるから。いろいろあって分からなくなる気持ちが「恋」。
1945年男性コーラス・グループ、ザ・ブラウン・ドッツのヒット曲。しかしリード・ヴォーカルがすぐ脱退し解体。それぞれが別々のグループ活動を始めている。千々に乱れたのはメンバーのほうだった。それでも翌年ナット・キング・コールがこの曲を取り上げ、ヒット・チャート一位を獲得し、以降スタンダードとして歌い継がれている。ケストナー「二人のロッテ」を翻案した1998年映画『ファミリーゲーム』の挿入歌としても使われている。



ザ・ワールド・オブ・ナット・キング・コール
ザ・ワールド・オブ・ナット・キング・コールナット・キング・コール ナタリー・コール

EMIミュージック・ジャパン 2005-02-09
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1946年夏「ザ・クリスマス・ソング」が全米でヒットし、ナット・キング・コールはポップ・シンガーの知名度を上げていく。でも本来はキング・コール・トリオのジャズ・ピアニスト。ギター参加のトリオだから出来る曲もある。この曲も、ドラムがないからセンチメンタルに響くんだよね。


Django in Rome 1949-1950
Django in Rome 1949-1950Django Reinhardt

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ボーカルをヴァイオリンに替えれば、よりセンチメンタル。ジャンゴがバックのサポートに回って、グラペリのヴァイオリンが切なく歌い上げる。1949年ローマ。こんな音色が街角に流れていたら、恋に落ちるしかない(試聴はmp3ダウンロードから→こちら)。


Jumpin Blues
Jumpin BluesDexter Gordon

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テナー・サックスに替えれば、デクスター・ゴードン。1970年ニューヨークに帰国したゴードンが、旧友ウィントン・ケリーサム・ジョーンズとの再会を祝し行ったセッション。「よう、元気だったか」「そちらはどうだい?」。リラックスした温かさに包まれる。この嬉しさは音楽でなら言い表せる。


Read Tested
Read TestedHank Crawford / Jimmy McGriff

Milestone 1997-11-18
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ピアノをオルガンに替えれば、ジミー・マクグリフ。1970年代ジャズ・ファンクを作り上げた彼も、1980年代から次の音楽への探索を始める。しかしパートナーが見つからない。誰の演奏にも新しさが無い。そうした中、巡り会ったのがハンク・クロフォード。BBキング・バンドのアルト・サックス奏者。ストレートでありながら、何か違う。セッションを重ねるうち、二人は「パートナー」になっていた。打てば響く1997年アルバム。この二人の「センチメンタル・リーズンズ」には都会的な透明さがある。


Bewitched
BewitchedLaura Fygi

Polygram Records 1993-05-18
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よく見たら「おっさん同士のアルバム」ばかりなので、ローラ・フィジィも置いときます。トゥーツ・シールマンスクラーク・テリーが参加している1993年アルバム。バレンタインだからね。オランダの歌姫が唄う、淡く切ない恋心。