AUTUMN IN NEW YORK - W&R : Jazzと読書の日々

暑い日もあるけれど、ビルにきらめく光の加減が何か違う。頬への風の当たり具合がどこか違う。ああ、秋だ。そこで自己暗示。「ここはニューヨーク、ここはニューヨーク」。

AUTUMN IN NEW YORK
1934 (Vernon Duke) Jurgen Kober

Autumn in New York
Why does it seem so inviting?
Autumn in New York
It spells the thrill of first nighting

ニューヨークの秋
なぜこう心惹かれるのだろう？
ニューヨークの秋
芝居初日みたいに心ざわめく
きらめく雲とゆらめく群衆が
鋼鉄の谷に行き交うと
故郷に戻ったような感じがし
ただいま、と心が呟いている

ニューヨークの秋
新しい出会いの予感に震える
ニューヨークの秋
どこかしら痛みも入り混じる
心空しい夢想家は
遠い異国を思い溜め息をつく
でも、秋になると
ここも悪くない、とまた呟く

別にニューヨークでなくても良いんですけどね。秋になると、街の雰囲気が変わってくる。何か始まりそうな予感に打ち震えている。「こんな街、出てってやる！」と思ってても、秋は特別。何かが違う。何かが変わる。懐かしいような、目新しいような、不思議な気持ちに街は色づいてくる。

ガーシュウィンの弟子のヴァーノン・デュークの作詞作曲。レヴュー『サムズ・アップ』のために書いたもの。1932年にカウント・ベイシー楽団のために『パリの四月』を書いているので「パリの次はニューヨークかいな」という面もあるけど、「鋼鉄の谷」や「行き交う群衆」に季節を見ているのは、とても1930年代とは思えない。都会人の感性を歌に仕上げたのは、やっぱ、すごい手並みだよなあ。

Autumn in New York/Starring Jo Stafford
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ジョー・スタフォードはトミー・ドーシー楽団専属のバンド・シンガー。50年代前半にミリオン･セラーを連発したすごい人です。

Django
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モダン・ジャズ・カルテット。試聴できるのはこの盤だったのでここにリンクしましたが、普通見かけるのはこちらだと思います。鉄琴のやさしい音色。MJQはどうしても「ミルト・ジャクソン・カルテット」の略だと思ってしまう。

Blue Lights, Vols. 1-2
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ギター主体でケニー・バレルの「ニューヨークの秋」。物思いに沈むには最適。アンディ・ウォーホルがジャケットのイラストを描いてます。

ラウンド・ミッドナイト
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クラブの裏口に座り込み「歌詞が思い出せればメロディは吹けるのだが」というデイルに、フランシスが語りかけるように歌うシーンがある。実はそれが「ニューヨークの秋」。故郷ニューヨークを捨てパリに来た男が、再び「故郷」を受け入れ直す物語。カッコいいよ。デイルを演じたデクスター・ゴードンは、これでアカデミー賞主演男優賞にノミネートされてました。ハービー・ハンコックやフレディ・ハバード、ウェイン・ショーター、ロン・カーターも酒場のバンド・メンバーとして出演。豪華なジャズ映画です。