POLKA DOTS AND MOONBEAMS

名月や池をめぐりて夜もすがら。いよいよ明日は中秋の名月。ところが、中秋の名月は陰暦上、必ず「仏滅」になるように仕組まれている。「全て満ちるは、かえって良からず」という思想があるんだそうな。


POLKA DOTS AND MOONBEAMS
1940(Johnny Burke / James Van Heusen) Steve Yeager


A country dance was being held in a garden
I felt a bump and heard an 'Oh beg your pardon'


庭で開かれてた村のダンスパーティー
誰かが僕にぶつかって「ごめんなさい」
見ると、小犬のような鼻の女の子を包む
水玉模様と月光が目に飛び込んできた!


音楽が始まっても、僕は戸惑ってしまい
やっとの思いで「次の曲いかがですか」
震える僕の腕の中で、小犬鼻の女の子に
また水玉模様と月光が弾け飛んだんだ!


誰もが物問いたげな目で見ていたけれど
僕たちは床を滑るように踊り続けていた
確かに不思議なことだけど
僕の心はその答えをちゃんと知っていた
多分、それ以上のことも分かってたんだ


だからいま
リラの花と笑い声に包まれた小さな家で
「ever after」 て言葉を噛みしめている
これからも君の小犬鼻にキスするたびに
水玉模様と月光が弾けるんだろうなあ!


A boy meets a girl。偶然出会った男の子と女の子が、やがて小さな家で二人で暮らす、どこにでもある幸せな物語。ポイントはまず「ever after」。昔話のお終いにくる「いつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」という決まり文句のこと。あともう一つは「pugnosed」。 「パグみたいな鼻の」という意味だけど、「パグ」って犬、ご存知でしょうか。ついでがあれば、ペットショップで対面してみてください。僕は、可愛いと思うんだけど(イギーもそうかな?)。
邦題『月光と水玉』。1940年代にトミー・ドーシー楽団とグレン・ミラー楽団が人気を競った。元はシナトラ(トミー・ドーシー楽団の専属歌手だった)のために書かれた曲だったけれど、グレン・ミラー楽団のほうはレイ・エバールで対抗。自分の持ち歌をライバルが歌っても良いなんて、気前のいい時代だったんだと思う。ところで「月の光」は分かるけれど、「水玉模様」って何だ? 彼女の着てたワンピースの柄か? それとも漫画で一目惚れのとき飛ぶ「シャボン玉もどき」のことか?!


http://m.youtube.com/watch?v=91_Tq3anOAc

Moon Beams
Moon BeamsBill Evans Trio

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star秀逸なジャケットプロダクション
star孤独を感じるときに・・・
star一部ファンからは絶大な支持

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「月の光」を感じさせるアルバムと言えば、これ。ビル・エヴァンスのピアノも「初めての出会い」を懐かしむようにしんみりと、「ああ、良い人生だなあ」と呟いてしまいそう。このアルバムは、一緒に組んでいたベーシストのスコット・ラファロが事故で25歳の生涯を閉じ、エヴァンスが一時期ピアノを弾けないほど落ち込んでしまい、そこから這い上がってきて録音した作品。全体がラファロへの鎮魂歌なのだと思う。


The Very Best of John Denver
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starカントリーロードを聞きたくて・・。
starジョン・デンバーを知りたい人に。

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カントリロー テイミホー♪ ジョン・デンバー。って知らない人がいるだろうなあ。「耳をすませば」なんて言われちゃうんだろうなあ。まあ、昔々のカントリー・ミュージックの人です。シナトラの友達で「月光と水玉」をカントリー風にアレンジしてるんだけど、まるで初めからカントリーの曲みたい。このダンスパーティにはカウボーイハット必携。


The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery
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starエスモンゴメリーのエッセンスが凝縮した傑作
starこれぞウェス・モンゴメリー
star代表作にして最高傑作

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ウェス・モンゴメリーで最初に買ったアルバムがこれだったかな。オクターブ奏法ってよく分からないけれど、聴くと「こんな感じ」が掴めます。月の下で静かに聴くには、このアルバムかな。



Tall Tales
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star1999年のセカンド・アルバム

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ジプシー・ミュージックのホット・クラブ・オブ・カウタウン。今も新しくサックスを加えホット・ジャズ・キャラバンとして活動しています。


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レイ・ブラウン・トリオに、いろいろなジャズプレーヤを招く企画版のサックス編。「月光と水玉」はジョシュア・レッドマンがセッションしています。これも月明かりに溶けていきそうな演奏。


【追記】
「polka dot」がなんで「水玉模様」なんだろうと調べてみたら、結構複雑な話みたい。polkaはもちろん「ポルカ」のことですが、これは1830年ボヘミア地方に起こった舞踊曲。ボヘミアチェコの西部、ポーランドと接する地域で、神聖ローマ帝国の皇帝を輩出したボヘミア王国がありました(ボヘミアは牧畜が盛んで、この地方の乗馬に向いた服装が「ボヘミアンボヘミア風)」の語源)。

こうした地域的な関係があり、ボヘミアの風俗をチェコ人は「ポーランド風」と呼んだようです。その「ポーランド風」がチェコ語で「polka」。だから「ポルカ」とは「ポーランド風の踊り」ということ。また、ボヘミアで作られる染め物に水玉模様がよく使われたので、チェコ語で「ポーランド風の点々」と呼んだのが「polka dot」のようです。