ALONE TOGETHER

梅雨入りしました。この6月は「雨の曲」を追いかけてみようと思います。


ALONE TOGETHER
1932(Howard Dietz / Arther Schwarz) Kendra Shank


Alone together beyond the crowd
Above the world, we're not too proud


群衆の中に埋もれていても二人は孤独
この地上で一人ぼっちでも生きていく
そんな自信が全然持てない僕たちでも
きっと二人一緒になれば、強くなれる


もし二人なら、たとえ土砂降りの雨や
星の無い夜がやって来ても耐えられる
君と僕、いつも二人一緒にいるのなら
何を怖がることがあるというのだろう


僕たちの愛は海のように深い
僕たちの愛は果てしなく広い


どんな未知の困難が待ち構えていても
君と僕で、なんとか乗り越えていける
もし二人一緒に生きていけるのならば


人間は孤独な存在。世界は苦悩に満ちている。都会の喧噪の中での疎外感。未知の困難が待つ未来。ネガティヴ思考のラブソング。「一緒になろう」というプロポーズの歌ながら、メロディの暗さ・歌詞の夢の無さではピカイチです。それでも、同行二人。この孤独を分かち合ってくれる君がいれば、心に安らぎが訪れる。
邦題『たった二人で』。レヴュー『フライング・カラー』の曲。『バンド・ワゴン』で成功を収めた後、同じメンバーと同じスタッフで演出したため、二番煎じと思われ、しかも世界恐慌のさなかで興行的には成功しなかった。歌詞を見ても「これから困難が待っている」という悲観的な展望が色濃く出ているのは世相を反映してだろう。

デクスター・ゴードンによる「たった二人」。彼自身のアルバムにはないんですが、ディジー・ガレスピー『Groovin' High』で吹いているようです。


Green Street
Green StreetGrant Green

Blue Note Records 2002-08-27
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starスタンダード集
starワン・アンド・オンリーの音色、フレージング
star深夜に聴くとウットリする

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セントルイスからニューヨークに出てきて、いきなりブルーノートからデビュー。1961年のグラント・グリーン最初のアルバムです。ギターを徹底してシングルトーンでしか弾かない。それが独特な淋しさを生み出しています。都会の孤独を噛みしめていたのはグリーン自身の心境なのかも。


Dinah Jams
Dinah JamsDinah Washington

Polygram 1990-06-01
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star暑い夏を吹き飛ばすダイナの歌声

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この曲は「二人」ということから競演作で使われることが多そう。ダイナ・ワシントンの熱いボーカルに、クリフォード・ブラウンのクールなトランペット。対照的な取り合わせが、音楽の幅を広げています。


Chet
ChetChet Baker

Riverside/OJC 1991-07-01
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star甘く切ないチェット・ベイカーのバラード
star超名盤ではないが珠玉の一枚
star最高に絵になる男

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こちらは同じトランペットでもチェット・ベイカー。歌無しで吹いています。都会の古いアパートの窓辺に腰掛け、暮れる夕空にトランペット。そんな映画のシーンのような物悲しさ。ビル・エヴァンスのピアノとの競演。


Sonny Rollins and the Contemporary Leaders
Sonny Rollins and the Contemporary LeadersSonny Rollins

Victor 1991-07-01
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star笑って迂回するロリンズが好き

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なにが二人だ。みんな一緒にやったら良いじゃないか。ということで、明るくソニー・ロリンズハンプトン・ホーズのピアノに、バーニー・ケッセルのギター。とにかく元気なシェリー・マンのドラム。コンテンポラリー・レコードの名手を揃えた1958年のアルバム。アドリブでぶいぶい吹き続けるのがソニー・ロリンズの魅力。