I COVER THE WATERFRONT

海の日だから、海の歌。でも、何があったかな。


I COVER THE WATERFRONT
1933(Edward Heyman / Johnny Green) Giacomo Gates


I cover the waterfront
I'm watching the sea


海辺を当て所なく彷徨い、私は海を見ていた
愛しい人が帰って来ることだけを祈りながら
あの人の姿を探し、私は波止場を歩いていた
でも、私を包むのは空に輝く星たちの光だけ


私はここにいます、もう待ちくたびれました
ただあなたに会いたい、どこにいるのです?
教えてください、いつお戻りになりますか?
忘れていませんか? 覚えてくれてますか?


いつかきっと、私の許にあの人が現れるはず
そう信じながら、私はただ海辺を歩いていた


これ、ヴァースを見ると寒い夜なんだよなあ。勘違いしてました。そうですね。冬の海を見ながら、去っていった人を待ちわびるから歌になるわけで、夏では絵になりません。ええ。夏の海なら夏休みの海外旅行になっちゃいます。待つほうも、夜風に当たって気長に待てば良いだけで。季節って大事ですね。
邦題『水辺にたたずみ』。1932年にマックス・ミラー作の小説『I Cover the Waterfront』がベストセラーになり、それにあやかって作られた曲。アネット・ハンショウが歌ったレコードもヒットし、同年公開された映画版の挿入歌として使われている。ストーリーは、中国の密航船を追う新聞記者が、敵側の娘と恋に落ちながらも事件を解決するミステリー。原題の「Cover the Waterfront」は「沿岸警備をする」の意味。その後、第二次大戦に突入し、戦地に出兵した恋人を待ちわびる歌として再解釈され、多くのアーティストに歌われている。


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戦後、この曲を取り上げ、まだ帰らぬ兵士たちの家族を慰めたのがビリー・ホリディ。でも、明るく歌っても、ビリーが歌うとブルースになるんだよなあ。


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ビリーの戦友、レスター・ヤングも吹いてます。ナット・キング・コールがピアノを務める1946年アルバム。ヤングのサックスは沁みますね。


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戦渦に巻き込まれたのはアメリカだけじゃない。それ以上に辛い思いをしたのがヨーロッパの人たち。亡くなった人たちへの鎮魂歌として、戦後ジャンゴが選んだのが「水辺にたたずみ」でした。ギターの音色が優しい。


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クリフォード・ブラウンの有名な『ウィズ・ストリングス』ですけど、これ、赤版と青版があって、青版のほうには1953年パリ公演のボーナスが付いてます。「水辺にたたずみ」はそこ。波止場の歌には、夜の静寂に溶け込むブラウニーのトランペットがピッタリ来ます。


雨の日と月曜日は
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戦時中は、ナチスに制圧されたオランダで幼少期を過ごしたアン・バートン。オランダの復興は、この人の歌声とともにあった。1977年来日のおり録音したアルバムが『雨の日と月曜日は』。バックは、日本のジャズを支えた稲葉國光と大隅寿男のお二方。「水辺にたたずみ」はモダンなアレンジで。